犬と猿
5
「こっちに来い」
「は?ちょっ、テメェ!何すんだよ、離せって!
聞いてるのか猿ッ!」
離そうと力を込めた手を、それ以上の力でグイグイと引っ張って行かれる
「離せよッ!!」
猿倉の背中にいくら罵声を浴びせても反応がない
どこに連れて行くのか分からないまま、力は弱まる事は無くって
そして
「痛でッ!!何すー‥」
「なんで泣いてるんだ?」
押し込まれた場所は猿倉にキスされた、いつぞやの教室で
壁に押し付けられた体勢も同じで
違うのは
(なんでテメェが怒ってんだよッ!)
猿倉の表情
「て、テメェに関係ねェだろーがッ!」
いくら暴れても、押さえ付けられた両肩が壁に縫い付けられたように動かない
唯一出来る事は、目の前にある猿倉の顔を睨む事だけで
「ああ、関係ねェ‥‥
けど、他の奴に泣かせられんなよッ!」
「だから、泣いてなんかねぇッ!
それに泣かせられてもいー‥」
「羽鳥か?」
「ッ‥‥な、ッ」
なんでコイツに‥‥
「羽鳥にー‥」
「違うッ!違う違うッ!!それ以上言うなッ!」
なんで1番嫌いな奴にッ
「フられたのか?」
「ーーーーッ!!!」
現実を突き付けられなきゃなんねーんだよッ!
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