犬と猿
2
今?
‥‥なんか、好きって?
(羽鳥が好きって‥‥え?)
ドッドッドッ‥‥
と、鼓動が速くなり息が上手く吸えない
教室のトビラに体が自然ともたれて、足に力が入らなくなる
「あの、オレ‥」
ドクンッと心臓が跳ねた
羽鳥の緊張した声
(羽鳥、羽と‥‥)
「オレもずっと‥好きでした」
ズット
スキダッタ
「ーーーーッ」
今‥‥
嘘だ、嘘だ‥‥
床がガラガラと崩れ落ち、目の前が真っ暗になる
今きちんと立っているのか
それとも、深い深い闇に落ちたのか
自分でも分からないぐらい平行感覚が狂って、倒れそう
あんなに煩かった心臓が握り潰されたみたいに、音も聞こえない
聞こえるのは羽鳥の声だけ
「オレからも、よろしく‥お願いします」
ずっと、ずっと聞きたかったその言葉は俺に向けられたものじゃなくて
羽鳥の前で緊張した女の子にで。
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