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犬と猿
3
リズムよく弾むボールに伸ばした手が触れる

取ったッ!!

と、感じたのにそこにボールはすでに無くって
ちょうどそこにいたのは



「は、羽鳥ィイイッ!!?」


キョトンと俺を見ている羽鳥が俺のライン上に立っていた
勢いついた足は止まれない

マズいっ、このままだと羽鳥に突っ込む!
クソッ!

おもっきり右足に力を込め床を踏み締める

と、グニッと足首がスピードと重量に負けて



「痛っだぁああっ!」


ぶざまにすっ転んだ
捻ったのか足首からジンジンとした痛みが走る



「イヌイ、大丈夫?」

「あ、うん!‥‥ちょこっと足捻っただけだし」



心配そうに見ている羽鳥を見て
ぶつかんなくって良かった
と、改めてホッとした時



「うわっ!な、なな何すんだよ!」



フワッと体が浮いた
浮いたとゆーか、これッ!!


「バカ犬なに自爆してんだよ?」

「っ、ッ!ダーッ降ろせバカッ!
テメェ、なにしてくれてんだァアアッ!」



この抱き抱え方
俗に言う‥‥お、お、お姫様抱っこッ!!?

腰に手なんか回されて、軽々持ち上げれると言ったこの侮辱ッ!



「先生、コイツ保健室連れて行きます」

「ああ、手当してもらう様に伝えてくれ猿倉」

「ちょっ、何勝手に話し進めてんだ!
降ろせバカーッ!サルーッ!歩けるっつーのッ!」

「暴れんなって落っことすぞ」

「ぐっ‥‥クソッ」



羽鳥に見られてる
クラスの連中の面白がってるあの顔


顔を見ないように背ければ、猿倉の胸に顔を埋める体勢になって


『ヒューヒューッ!犬井ちゃん!』


馬鹿にする声がよりいっそう飛び交った
そして保健室に向かう途中



「土下座よりも屈辱的だろこれ?」

「ッ!!やっぱ、わざとかテメェェエエッ!」



少し上にあるニヤつく猿倉を見てブチ切れた俺は
保健室に着いた後


(絶対腹に一発入れる!!)


そう拳に力を込めた


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あきゅろす。
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