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犬と猿
1
「なんでテメェと組まなきゃなんねーんだよ!」

「そのままそっくり返す。それよりも、手動かせ」

「分ーーってるよ!」



コイツに言われなくても百も承知だって!
ただでさえ猿の顔を見てるんだ!
さっさと終わらせたいってーの!



と言う今は、美術の授業中
二人ペアになり膝を付き合わせてのスケッチは、何故かみんなワイワイ楽しそうにしている


俺も!
と、なるはずだったのに!
この猿のせいだ!




『早く2人一組になれー!
お互いの顔をスケッチしたのを今日提出してもらうからなー』


先生から発せられた課題
さっそく羽鳥とペアを組もうと思い気や


「羽鳥、俺と組まないか?」


猿がほざいた



「ちょっと待ったーー!なんでお前が羽鳥と組むんだよ!」

「は?」

「羽鳥と一緒にやるのはオ・レ!
授業が始まる前から、いや生まれる前からすでに決まっていた決定事項、まさに運命!
テメェの入る隙間なんてこれっぽっちもねェーんだよ!」


「バカか?寝言は寝て言えって」


「ムッカッ!!
上等ゴラァッ!今日こそケチョンケチョンにぶっ倒してやる!」

「やれるモンならやってみろって!メッタメッタに返り討ちにしてやる!」



バチバチッー‥
と、視線がカチ合う場所で火花が散る

ゆっくり吸った息をグッと止め
いざッ!踏み出そうとした時



「「ぅ、痛でッ!」」

『おい‥‥そこの2人、教室出て行くか?それとも、今すぐ席に着いて静かに授業を受けるか?
どっちにする?』



脳天に突き抜けた鈍痛
そして俺達の後ろには、仁王立ちで教科書を縦に構えた先生が、あんまりにも恐くって

周りを見れば、羽鳥は別の奴と組み
あぶれているのは目の前の猿のみ

だからこうして今、仕方無しに嫌いな猿の顔を書く羽目になっている訳


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