犬と猿
1
「猿倉シュートッ!」
「行けッ!」
その声に反応して、しなやかに放たれるボール
綺麗な孤を描き吸い込まれる様にゴール目掛け
シュパッ!
耳に届いた軽快な音と
そして雄叫びの様な歓声が体育館に響き渡った
「試合終了ッ!」
ホイッスルと先生の合図で、勝ったチームはさらに喜び分かち合う
みんなでハイタッチする中心は猿倉で
奴一人の独壇場だったのは明らかで
チームの中には羽鳥もいて、だからってー‥
(肩抱くなァアアッ!)
あの野郎ッ、絶対わざとだ!
今日の体育はチーム対抗戦バスケット
先生のテキトーチーム分けに、俺は見事羽鳥と離れ敵チーム
「俺も羽鳥とハイタッチしたかったのにッ!」
そうは思っても、今更どーしようもないし
ただ次の試合は、俺らのチームと今勝ったチームとで決勝戦
だから、あわよくば羽鳥にお触りなんて‥‥
そうそう、お尻とか‥‥
(ヤベッ、鼻血出そ)
ただ、奴も一緒だ
ヒーロー気取りになったあの猿と。
でも考え方によっちゃー、得意なバスケで俺にケチョンケチョンにやられれば、猿も木から落ちる的な‥‥
羽鳥も俺のかっこ良さにさらに惚れ直して‥‥
『オレ、イヌイの事‥‥好きッ!』
とか、なっちゃってッ!
なった流れの展開でー‥
「イヒッ!ヨッシャーッ勝ァアアつッ!」
動機は不純で何が悪いッ!
勝てばいいんだ勝てばッ!
[次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!