犬と猿
3
「ど、どうしたのイヌイ?」
(ヤベェ‥‥チューしたい)
デッカイ目で俺だけを見つて来られるとグラグラ理性だって吹っ飛ぶさ!
だってそうだろ?
女の子にはどう頑張ったって敵わないのは解ってるけどよ、でも
好きな子から、その敵わないと思ってた女の子よりも
俺と居たい‥‥
そんな風に言われた日にゃ
「あ、あのッ、あのなッ!」
背中も押されるってもんだ!
首を傾げる仕草にまた心臓がバックンバックン
口ん中カラカラにもなる
聞こえない様に息を一旦吐き出し
「あの‥‥羽鳥あのな!」
「イヌイ?」
一世一代の告白
「俺、‥‥おれっ、痛ッッ、てェエエエエッ!」
は、出来なかった
脳天に落下した痛み
バッシーーンと気持ち良い程の音は、俺の頭を叩いた時に発したんだろう
大体、誰かは解る
こんな事しくさる阿呆んだらは‥‥
「ッの猿テメェ!よくも邪魔しやがってボケゴラァ!」
「有り難く思えよ。周り見てみれば?」
いつもみたいに突っ掛かってこない猿
それだけ言ってスタスタと自分の席に戻っていった
周り見てみれば‥‥だって?
うっせぇーよッ!!
と、思いつつゆっくり顔を横に向けて
「うッ!!」
喉が詰まった
無数の目がこっちを興味深そうに見ていたから
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