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犬と猿
5
「そんじゃ貰っとくな、サンキュー」


あくまで平静を装い手を伸ばす


よし今だッ!


ストラップは二の次
羽鳥の手に狙いを定めて

『おててギュッ』

その野望の為、俺は勢い付けて羽鳥の手を取った



(うわぁ、暖っかい)


思ったよりもしっかりとした男らしい手
骨張っていて案外大きくて、健康的な小麦色を‥した‥‥?



「いつまで握ってんだバカ犬?」


頭上から降ってきた耳障りな声に思考が一旦停止する


そんな、まさか!
と、今頭に浮かんだ恐ろしい予感

油が切れたブリキの様にギギギィー‥と視線を上げて見れば



「早く離せバーカ」


見たくもない奴の顔を俺の目に捉えてしまっていた


「こ、こ、この猿ッ!!
テメェなんでまた居んだよ!」

「は?お前の許可ねーと駄目なのか?
これだからバカ犬は‥‥ってか、手!」

「へ?」

「は・な・せ・よバカ!」

「ーーッ!!誰がテメェの手なんか進んで握りたいか!
つーか、俺のひそかな想いを打ち砕きやがって!」

「ふん!お前の想いなんか知るかッ!
あッ、早く手洗って来ねーと‥‥腐るな」

「カッチーーンッ!表出ろこのエロ猿ッ!」

「チビ犬がッ!受けて立つ!」



一日何度となく繰り返すこのやり取り

今だに勝敗は決まらず‥‥
だけど!


俺の天敵、エロ猿めッ!
いつかフルボッコの刑に処してやる!!


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あきゅろす。
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