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犬と猿
4
「ん、ムグゥ、ンンッ!」


突然、襲い掛かった息苦しさ
口に詰め込まれた物が何だって事が分からないぐらい、馬鹿じゃない



「うまいだろ?」

「ング、んぐぐッ!」



な、訳ねーだろこの猿ッ!
羽鳥にアーンして貰ってるなら昇天モンだけど、何が嬉しくてテメェなんかに!
それも無理矢理!

勝ち誇った顔が憎ったらしい!


暴れてみるけど、最初っから掴まれていた腕では、猿から逃げるのは難しくって
とにかく口にあるエクレアを食べるしかない



(この野郎ッ!!)


ウマいはウマいッ!
けども、やられっぱなしは‥‥
腹立つ!!
だから‥‥


「ぉ、おい、犬‥‥」


ビクッと猿倉の指が反応した

クリームを嘗めるように猿倉の指まで唇を這わせてみる



「ぉ、おまッ、何し‥」



そのまま指先から、手の平と舌を滑らす

声からしてよっぽど焦っているのか、普段ない感じの猿倉
その手におもっきし‥‥



(隙を見せたな馬鹿がッ!)

「痛っだあーーッ!!」



歯を立てた



「んぐ‥ざ、ザマーみれッバカ猿!
いい気になった罰だバーカ!」

「テメェよくも噛みやがったなぁああ!
保健所に連れてってやる!」

「ぁああ!?テメェなんか猿山に放置だ!バカ猿が、痛っっでーーッ!
テメェェエエ蹴ったな!」

「うっせー、痛ッ!!この野郎ォオオ!」



ムカつく猿との、もみ合い掴み合い
ゴングの様にチャイムが鳴り響くまで、喧嘩は続けられた


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