犬と猿
2
「猿、聞いてんのかって言ってんだ!テメェの目はフシアナか!
ここに俺居んだろーが!羽鳥としゃべってんだろーが!」
「うっせーな、だから?俺からしたら、視界に入らないお前の小ささが悪いと思うけど?」
「なッ!!」
小さい小さい言いやがるけど、テメェよりはだろーが!
俺だって平均身長はあんだっつーの!
「ふーん‥でもお前さ」
ジーッと俺を見てくる胸クソ悪い視線を感じて見上げる
その発信源には、遠慮の知らなさそうな男前の面
「ッ何だよ!!」
「似合うな、その髪形」
「ふぇ!?」
ニコッと笑い掛けられて不覚にも言葉に詰まった
いつも言い合いしかしてない相手から褒められて、対応に困る
『ありがとう』とか言うべきか‥‥
いや待てよ、散々バカにした事言われてお礼もどうかと‥‥
でも、親からは感謝の気持ちは大切って教えられたし‥‥そう、だよな
初めてコイツにお礼という物を口にしようとした時
「柴犬みてぇ」
そんな言葉が頭上から降ってきた
それは何か?
俺の名前が犬井だからか?
外見も犬っぽいって‥
「馬鹿にしてんのかァアアアッ!」
「はぁあ?突然なに怒ってんだ?
ってか、馬鹿にしてんのは今に始まった事じゃねーし」
「ッ、アチョーーーッ!!」
失礼極まりない事をほざく猿の頭目掛けて
怒りのチョップを繰り出した
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