[携帯モード] [URL送信]

犬と猿
7
「ったく、やっぱお前‥‥」

「って、おッ!オイッ!なんで抱き着くんだッ!離せバカ猿ッ!」



好きじゃないって言われて、普通嬉しい顔するか?
抱き着く意味も解らない
何だよコイツは!


力いっぱい腰に回されていた手が緩み、目の前で精悍な顔がまた笑顔になった



「今『嫌い』って言わなかったな」

「へ?」

「俺の事、嫌いって言わなかったな」



二度もおんなじ事、繰り返さなくても聞こえてるっつーのに‥
だから、嫌いって‥言ってるっつー‥‥
あ、れ?



(好き、じゃない‥‥?)



「う、ぁ‥‥俺ッ?」

「気が付いたか?」

「ッ、ツ!!!」




ニヤリと含み笑いをした猿倉が言いたい事

俺が『嫌い』とハッキリ言わないで
『好きじゃない』と、そう口にした事



「好きじゃないけど、嫌いでもない?」


「なッ!!ち、違ッ!違う違う違ぇーー!
俺はテメェなんか嫌いだァアアアッ!
このッ、いつまで抱き着いてんじゃねェェエッ!」


「照れるなって。犬井、今度は『好きだ』って言わせてやるな」


「だから言わねーーって言ってんだろうが、ダリャアゃッ!!」


「痛ッツでぇー!!っの、犬ッ!」


「はッ!
蹴られて男前上がったんじゃね?
お前なんか地べた這いずり回ってる方がお似合いだっつーのッ!」


「このッツ、バカ犬ッ!押し倒してこの前みたくキャンキャン鳴かしてやるッ!」


「ぁあ?猿、やるかオラァアアッ!」

「掛かって来いやバカ犬ッ!!」




『嫌い』から少しずつ変化しつつあるこの想い

ハッキリとまだ認めたくない部分と
もう、すでに自分でも気が付いてしまった部分



(だからって言えるかよ!)



そんな想いをバレないように今は



「エロ猿成敗ッ!」



ごまかす為に、猿倉につかみ掛かった






[*前へ]

7/7ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!