過去の拍手お礼文置き場
金木犀
ふわりと、甘い甘い香りがした。
「あ、キンモクセイ」
横を歩く愛しい愛しい恋人が不意に顔を上げて言う。
ふんふんと鼻で息を吸って、ふわりと笑った。
それがどうしようもなく可愛らしくて、買い出しもまだなのにその手を引いた。
入り込んだのは一本の細道
黄色の花を付けた木がうまく辺りから視界を遮っていた。
突然連れ込まれ首を傾げている恋人の唇をちゅっと奪う。
「なっ!!」
真っ赤になって唇を押さえる恋人ににこりと笑う。
「なぁ、俺“キンモクセイ”に嫉妬しちゃったからゾロからキスして?」
は?と口を開けるゾロ。
可愛いなぁ。
「だから、お前があんまりにも綺麗に笑うもんだから“キンモクセイ”に嫉妬しちゃったの。キスして?」
意地悪くもう一度言うとゾロは俯いてしまった。
その肩に、小さな花が落ちてくる。
取ってあげるとゾロがこちらをうかがっているのが分かる。
ちゅっ
わざとリップ音を響かせた“花”へのキスに、ゾロは目を剥いた。
「〜〜〜ッ!!」
ぐい、と腕を引かれる。
がちん…。
歯と歯がぶつかってしまうような拙いキスの後…
「俺も…キンモクセイに嫉妬した。」
言い訳のような言葉を囁かれた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!