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text onepiece 五十音順短編

(あ)愛



「愛ってなんだと思う?」

深夜のキッチン
そこにいるのは寝ず番のゾロと仕込みをしていたサンジだけ。

…酒をくれるというから見張り台から降りてきたのに、と思いながらゾロはで?と答えた。

「…でって?」

「…だから…今度は何に不安になりやがったんだよ…?」

「………だって…」

大の大人がだって、とか言うんじゃねぇよと思いつつもそれすらも…
そんな自分の思考を遮るようにゾロは視線で続きを促した。

「…だって今日…ナミさんに頭撫でられてた…。」

「陽に当たって温くなってたんだとよ。」

「…ルフィと抱き合って寝てた…。」

「ありゃ抱き合ってじゃねぇ。抱きつかれて、だ。しかも眠れてねぇの分かってんだろ。」

「…チョッパーと風呂入ってた。」

「あぁ?そんなの前からだろ?」

「でも嫌なんだよ!」

「………チョッパーは弟みたいなもんだぞ。」

「………。」

「…ったく。一緒に風呂入るのが恥ずかしいなんて思うんはお前だけなんだからそれくらい許せ。」

「…ん。」

「…で?もう終わりか?」

「………ウソップと…」

「ウソップぅ?」

ウソップとなんかあったか?と思いつつも頬杖を付きながら続き促す…

「ウソップと…楽しそうに話してた。」

ずるっと体が滑る。
…勿論下らなすぎて、だ。

「……………。」

ジト目で見ているとサンジが目を反らした。

「………正直これはおれも見境なさすぎだとは思った。けどお前のことになると俺皆に嫉妬しちまうんだよ…。」

あぁ、だから夕飯キノコだったのか、とかウソップだけ扱い酷くねぇか?だとかずれたことを考えながらゾロは俯いたサンジの旋毛を眺めていた。

「…情けねぇな。」

ポツリと呟いた言葉にその体が動く。

「…分かってる。検討違いに嫉妬して勝手に落ち込んで…そりゃ情けねぇよな…。」

旋毛が見えなくなって、代わりに見えるようになった顔が眉を下げたまま笑みを形どる。

何でこんな話になったんだったか?
…あぁ、愛とかなんとか言うからか。




「…だってとか言われても検討違いに嫉妬されても、情けない面見せられても…嫌いになれねぇ。大の大人相手に可愛いとか思っちまったり、…嬉しい…とか思っちまったり…こんなのが…愛なんじゃねぇのかよ。」



ばーか、ラブコックの癖に





恥ずかしくなって言い逃げた。

バタン、と閉まったドアを呆然と見つめながらサンジの頬は徐々に赤く染まっていく。



「嫌われたくなくって余裕なんて無くなっちまうんだよ。まりもちゃん相手にラブコックのなんてやってられるかよ…。

……
………あぁ、クソ愛してるぜ。」



コツコツ、と革靴の足音が見張り台へと向かっていく。
手には約束の酒

二人で飲みながら朝まで一緒にいよう。
きっと明日の仕事を心配しながらも嬉しそうに笑ってくれるんだ。

幸せな未来を思いながら、サンジの足はつい30分前とは比べ物にならないくらい軽かった。




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あきゅろす。
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