text onepiece parallel 電車 2 そんな日々が、二週間と続き…電車が嫌いになり始めてきた頃…… ゾロの瞳に柔らかな光を反射する、嫌でも目を引く金が映った。 そいつの、青い瞳には…自分の呆けた表情が映っていて…。 そいつはぐしゃりと顔を歪めた。 ゾロが聞いたことのない、低く男らしい声で名前は?と尋ねてきた。 意味が、分からない。 再びお前の名前、と尋ねられゾロ、とだけ答えた。 「ゾロ、お前が好きだ。ずっとすっと、気になっていた。お前に会えないのが辛いんだ。友人でもいい。唯、偶然じゃないと会えない関係じゃなくしたい。」 早口で伝えられ、、、沈黙した。 「…あの、水色の女は?」 沈黙を破ったのはゾロだった。 へ、とそいつの口から間抜けな声が上がる。 「あの、お前が一緒にいた水色の髪の女は…彼女じゃないのかよ…!」 「ビビちゃん?」 …女の名前なんか知るか。 若干不機嫌になったゾロにそいつは慌てて説明をし始めた。 「ビビちゃんは俺とは違う彼氏がちゃんといるよ。この前はそいつに言われて学校まで送っただけなんだ。そいつ過保護で、痴漢に会うといけないからって…。」 その必死な説明に、、、ゾロは途中から笑い始めた。 ククク、と喉から漏れる声を抑えようともせず、久しぶりに、多分一週間ぶりに笑った。 壊れたと思っていた筈の何か、が直った気がした。 「お前、名前は?」 「サンジ」 サンジ、か。 なぁ、お前の姿を見て少し楽しくなったり、 お前に会う電車が好きになったり、 お前が他の女と喋ってたりすんのを見て嫌な気分になって、 お前を俺のもんにしたいって思う、、、 多分、これは…この感情は…“恋”なんて呼ばれてるもんじゃねぇか? 「俺も、お前が好きだ。」 「へ?」 そいつ、サンジはひっじょうに間抜けな顔をした。 いつもお洒落に気を使ってそうな服を着て、髪もセットして、気障ったらしく目線を送っていたこいつの、多分は一番決まっていない顔。 俺のせいでこんなになっている、こいつ。 …すげえ嬉しいって言ったらなんか騒ぎ出しそうだよな。 優越感に浸っていると、パチパチという音が聞こえていた。 …今更ながらここがどこだったか思い出す。 微笑ましそうに微笑む男性、顔を赤く染める女性、明らさまに見ていないフリをする男子中学生にスマホを向ける女子高生、、、 スマホは止めて欲しい…。 幾人かの人が二人に拍手を送っていた。 呆気に取られている間にサンジが降りる駅を通りすぎてしまった。 声を上げたのはゾロだ。 「学校!良いのかよ!?」 「大丈夫、大丈夫。電車の時間ずらしたから余裕あるの忘れた?」 「………。」 あ、と詰まってしまったゾロをクスリと笑い、サンジはとにかく番号交換しようぜ、と携帯を取り出した。 ピピ、と携帯をいじり二人のデータが交換される。 そんなことをしているうちにゾロの最寄り駅に着いた。 おりるぞー、とサンジから自然に手を引かれゾロは赤面した。 キャア、と響く声を背で聞きながら電車を降りる。 電車が発車して行く。 サンジは俯いてしまったゾロの耳元でいたずらに囁いた。 「なあ、明日からは電車の時間戻すだろ?」 見透かされているような言い方にゾロは思わず顔を上げた。 思いの外近くにあったサンジの顔に目を瞬かせていると、唇に温もりが落とされた。 それがキスだ、と気付く頃にはもうサンジは乗り換えの階段へと歩き始めていた。 振り返った表情は甘い甘い、見とれてしまうような笑顔。 「ゾロ、また明日な!」 …何だか言い返すのも癪なので、携帯を開き教えられたばかりの番号を選択する。 メールを短い時間で打ち上げ、読み返すことはせずにさっさと送った。 ピロリン、と既に電車に乗り込んだサンジの携帯が光る。 開くとそこには一通のメール 『明日じゃねえ。夜、電話しろ』 目を開き、そうして携帯で顔を隠して笑った。 後ろから三両目… 真ん中のドアのすぐ脇、金と緑が並ぶようになった。 ーーーーー はい、パロでしたー!! …終わりっ!!\(^o^)/ [*前へ][次へ#] [戻る] |