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赤ずきん
むかしむかし、あるところに、とても可愛らしい女の子がいました。
ある時、その女の子のおばあさんが赤い布で、女の子のかぶるずきんを作ってくれました。
そのずきんが女の子にとても似合っていたので、みんなは女の子の事を、『赤ずきん』と呼ぶ様になりました。

 ある日の事、お母さんは赤ずきんを呼んで言いました。

「赤ずきん、おばあさんがご病気になってしまったのよ。おばあさんはお前をとっても可愛がってくれたのだからお見舞いに行きなさい。きっと喜ぶはずだから。」

「…ぐーぐー。」

「…赤ずきん、起きなさい。」

「んあ?」

「…もういいわ。取り合えずおばあさんの家にこれを持っていってちょうだい。」

…お母さんはめんどくさくなってお見舞いの品を入れたバスケットを持たせて赤ずきんを送り出しました。

「取り敢えずばあさんの家に行けばいいのか?」

赤ずきんはそう言うと、自信満々におばあちゃんの家とは真逆の方向へと歩き始めました。


二時間ほど歩いて、赤ずきんは深い森の中にいます。
迷子ではないと言い張ります。

「おかしいな。ばあさんの家が消えた。」

…おばあさんの家がなくなったと思っているようです。

「まぁいいか!腹へったな。バスケットの中に酒入ってねぇかな」

ゴソゴソ…

「お!ワインにケーキか。ケーキはあんまり好きじゃねぇが無いよりましか」

赤ずきんはおばあさんのお見舞いの品を食べました。
ワインも一人で一本飲み干しました。
赤ずきんは酒豪だったのです。

「はぁー食った食った。よし、帰るか!」

お腹もいっぱいになった赤ずきんは満足気です。
…しかし、目的…おばあさんの家にお見舞いのことはすっかり忘れてしまっています。
あと、自分が迷子…という自覚はないのですが、帰り道がわからないということも忘れてしまっています。

赤ずきんは再び自信満々に森の奥へと入っていきました。


…そんな赤ずきんを森の入り口からずっと見守る一つの影…。

狼のサンジです。
サンジは狼にもかかわらずグルメだったので…

「人間の肉?不味くて食えたもんじゃねえよ」

…という変わったやつだったのです。

そんなサンジは森に迷いこんだ赤ずきんの可愛いらしい見た目にメロリンと一目惚れしてしまい、ずっと影から見守っていたのです。

…ストーカーじゃありませんよ?

「あぁっ!なんでそっち行くんだよそっちには熊がいるってのに!!」

…どうやらサンジのほうが赤ずきんよりも頭が良いみたいですね。
サンジは考えて、赤ずきんが自分の家まで帰れるように誘導してあげようと思いました。

ずんずんと進む赤ずきんの前方に回り込んで、おおーんと遠吠えをしてみました。
取り敢えず赤ずきんは家と真逆に進もうとするので恐がらせて帰らせようと思ったのです。
…普通の女の子なら、ここで回れ右をしたでしょう。
しかし、赤ずきんは普通ではなかったのです。

「お、狼がいるのか!今日の夕飯は狼の鍋だな!」

…これにはサンジもびっくりです。
いざとなったら赤ずきんの前に出て道案内しようと思っていたのに、そんなことも出来なくなってしまいました。

仕方ないので、獲物として赤ずきんの前に出て、追わせながらなんとか家まで誘導しようかと考えていると…

グルルル…

なんと、赤ずきんと熊さんが出会ってしまいました。
どうやら赤ずきんはサンジが考え込んでいるうちに熊のテリトリーに入ってしまったようでした。
熊さんと可愛らしく言いましたが、その体は赤ずきんの三倍以上の大きさです。
赤ずきんが危ない、とサンジは自分の身の危険も忘れて飛び出そうとしましたが、それよりも赤ずきんが先に動きました。
赤い頭巾を結び直すと、腰の辺りに手を入れました。
赤ずきんはマントを着ていましたから分かりにくかったのですが、そこは“わどういちもんじ”という赤ずきんの得物が隠されていたのです。

「へっ、技を使うまでもねぇな」

赤ずきんはわどういちもんじで熊を切り裂きました。
余裕で熊に勝ちました。

それを飛び出そうとした姿勢で固まっていたサンジはアレ?ナニカオカシイゾ?と思わず現実逃避をしてしまいました。

赤ずきんは…

「よっしゃ、今日は熊鍋だ」

…とっても嬉しそうです。
えーー、と思っていると、赤ずきんと目が合ってしまいました。

「…さっきから気配が駄々漏れなんだが…お前も鍋の具になるか?」

ニヤリと笑った顔はとっても獰猛で、しかしとっても美しく、サンジは見とれてしまいました。
この子に食べられるのも悪くないな、なんてことまで思ってしまいました。
…そう言うと引かれました。

「わりぃ、なんか気持ち悪くって食えねぇわ。」

…サンジは少し泣きました。

「赤ずきん、君の家まで送ってあげるから帰ろう。」

泣きながらそう言いますが、赤ずきんは鼻で笑います。

「やだね、そもそも俺“赤ずきん”って名前じゃねぇし、狼。」

「俺だって狼って名前じゃねぇし。」

「はっ、てめぇの名前なんか知るかよ。狼じゃなかったら犬か?」

「俺様はサンジだ!!この男前を捕まえてなーにが犬だ。…で?赤ずきんじゃなかったら何なんだよ?」

「ゾロ」

「へ?」

「ゾロ、だ。サンジ」

「ゾロ、?」

「おう」

赤ずきん…ゾロは久々に聞く自分の名前にへへっと可愛らしく笑いました。

「サンジ、さっさと帰ろうぜ!特別に熊鍋食わせてやるよ!」

だから家まで案内しろ、と命令され…サンジは頷きながら考えていました。

これが人間の言う“つんでれ”というものだろうか?

…と。



            終わり。


ーーーーー

おばあさんと猟師さんが完全に消えた赤ずきんでした。
赤ずきん最強(笑)
これ一応ゾロちゃん女の子なのかな??
文中に“彼女”とか入れちゃったし(^-^;
私のなかではニョタゾロが赤ずきん被っています。
で、狼サンジくんが初めてのおつかいよろしく木の影からはらはらと見つめている的な(笑)

パラレルは苦手なので更新がとっても遅いです。
すいませんm(__)m

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