[携帯モード] [URL送信]

text onepiece 短編
Date 2
…わいわい
イチャイチャ…

それが今回の島の印象だった。
いや、今回のようなイベントと重なっていなければ受ける印象も違っていたのだろうけれど…。
しかし今回は年に一度の“クリスマス”という日らしい。
どこもかしこも浮かれ気分
恋人同士でイチャついている。


麦わらの一味もルフィとナミ、サンジとゾロ、それから他のメンバー(雑…)と別れることとなった。


無理矢理連れ出されたゾロはそれでもキラキラと至るところが光っている風景が珍しいのか辺りをキョロキョロと見渡している。
可愛い。
… 迷子の時もあれくらい周りを見てくれれば…、と思わないでもないが可愛い。

「何したい?」

「…わかんね。」

何をするかとサンジが訊くが、ゾロは若干考えてからギブアップした。
サンジだって初めて来た島で買い出し以外にまず遊ぶということがあまり無いからよくわからない。
辺りを見渡すといくつか屋台がでている。
そのうちの一つに当たりをつけ、店番をしている女性のところへ行こうとして…
未だにライトアップされた街並みに目を奪われているゾロに気付く。
一緒に連れていこうかとも思ったが、このままゆっくり見させてあげたいと思い直した。

「ゾロ、ちょっとあのレディーにオススメの場所でも訊いてくるからここにいろ。
…動くなよ。こんだけ人がごった返してるのにはぐれたら会えなくなるぞ。」

こくりと頷いたゾロを確認してからサンジはゾロに指差した屋台の元へと歩いていった。

「お嬢さん」

「いらっしゃい。せっかくのクリスマスなのにお一人?それとも…クリスマスの奇跡でも狙っているのかしら??」

“どこかオススメの観光場所なんてない?”と聞こうとしたが、聞き慣れない言葉に思わず違う事を聞いてしまう。

「クリスマスの奇跡?」

「あら、知らない?クリスマスに一緒に過ごす人がいない人が同じように一人で過ごしている人に声を掛けて一緒に過ごすの。…まぁ、ナンパのクリスマスバージョンね♪」

「なるほど。しかしこんなにもお美しい女性を前に同じ時間を過ごしませんかなんて身の程しらずに言うことなど出来ませんよ。」

「あら上手いわね。そんなこと言って本命はちゃんと確保しているんでしょ」

「えぇ、とってもかっこよくて可愛い大事な人が」

「フフフ、一緒に回るんだったら表通り…その道を真っ直ぐ行って一番大きな通りで曲がると入れるんだけど、そこがオススメよ。」

「イルミネーションなどが綺麗なところなんかはありませんか?」

「あらあら、キザねぇ〜。表通りの広場は凄いわよ。」

「ありがとうございます。ではこれとこれを下さい。」

軽口を叩きながらも欲しがった情報を全て教えてくれたお礼に、と店先に置かれていた硝子のストラップを二つ手に取る。

「あら、いいのに」

「いえいえ、ほんのお礼です。それに…大事な人が好きそうな物なので」

手に持った硝子は海のような蒼と深い翠緑、、、。
ゾロが好きだと言っていた蒼とそのゾロのような翠緑だ。
情報のお礼というのも本当だが、実際にはゾロが喜びそうだから、というのが8割以上…。
レディーにもそれが伝わったのか、苦笑しながらもプレゼント用に包んでくれた。

「…まぁ、熱々ね!ならまいどあり
、、、はいどうぞ…おにーさんもてそうだから大事な人のところに帰るまでにナンパされないようにね!」


…ん??


綺麗なお姉さまの言葉に…いや〜な予感がした。
急いで帰ると……案の定、ゾロが囲まれていた…。
美しく着飾ったお嬢様方が片手では足らないほど…下手すると両手でも足りないかもしれない…。

「お兄さん格好良いわねぇ〜」

「ねぇ、何て言う名前なの?」

「私と一緒に過ごさない?」

「お兄さんなら一夜限りでもいいわよ?」

…数えてみたが両手でも足りなかった。
そんなレディー達が皆口々に何かを言いながらゾロに迫っていた。

ゾロは、というと…全くの無表情でそれでも尚イルミネーションを眺めていた。

“ゾロ”

サンジがそう呼ぼうとした一瞬前にゾロはサンジに気付いた。
仏頂面だった顔が綻ぶ。

ゾロからすればようやく迎えに来た恋人にたいする笑みだったのだが、周りにいた女性方は盛大な悲鳴を上げた。
それから…ゾロが微笑む直前に話しかけていた女性が勝ち誇った顔でゾロの腕を取った。

「あ?」

ゾロは不機嫌な顔をしたが、残念ながら女性には見えなかったようだ。

「うわぁ、お兄さん逞しい腕してるのねぇ〜♪」

…と、腕に体を押し付けてきた。
サンジの表情がピシリと固まる。

…お嬢さん、胸…当たってます。…いや、当ててるのか…。

しかし次の瞬間そんなサンジの不機嫌が可愛く思えるほどゾロの纏う空気が冷えた。


よりもよって、ゾロに纏わりついていた女性が刀…それも“和道一文字”に触ってしまったのだ。
流石のゾロも四方八方女性に囲まれていては伸ばされるた手を避けることは出来なかった…。


………


「刀なんて3本も使わないでしょう。良い質屋を教えてあげるわよ♪」

[*前へ][次へ#]

5/35ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!