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text onepiece 短編
だからほら、泣かないで
食糧庫の中が少し淋しくなってきたころで着いた島。
出来るなら補充をしたいところだったが、、、。

「…う〜ん…やっぱり平和な島だから海軍が多いわね。」

そう言ったのはナミだ。
ロビンは嫌がる船長を押さえてドクロマークを下ろしていた。

「ならナミさん、俺が一人で行って買い出ししてくるよ。」

ほら、俺だけ顔割れてないし、とロビンを手伝いルフィを押さえていたサンジが言う。

「そう?…なら、お願い!」

「喜んで」

気障ったらしく了承の意を伝えたサンジだったが、その後で船首のほうをちらりと見た。
そこにはぎゃあぎゃあと俺も行くだのなんだの叫んでいるルフィを押さえる騒ぎにも我関せずを貫くゾロがいて…
サンジとばっちり目が合った。

そのまま島に向かうかと思われたサンジは一旦ゾロの元まで行き、ナミと決めたことを伝える。

「…?んなことなら聞こえてた。」

「うん、夕方になる前には戻ってくるから」

「…おう。いってこい。」

「ん、いってきます。」

困ったように笑ったサンジはぽんぽん、とあやすようにゾロの頭を撫でて船から降りていった。

「…??」

ゾロは首を傾げた後、鍛練をするためにトレーニングルームへと登っていった。



「…1078、1079、1080、1081、1082」

いつも通り錘を増量させたダンベルをぶんぶんと振っていたが、ふと見知った気配がトレーニングルームへと近付いてきているのに気付きドアへと体を向けた。
恐る恐る、けれど体のほとんどを見せてトレーニングルームを覗きこんできたのはチョッパーだった。
それから…

「少し休憩しないかしら?」

なにやらトレーを持ったロビン

「ゾロのためにドリンク作ったんだ!一緒に飲もう!!」

にっこりとチョッパーに微笑まれてしまってはゾロに鍛錬を続けるという選択肢はないに等しい。
仕方なくダンベルを置けば、嬉しそうに寄ってきた。

「ふふ、チョッパーには甘いわね。」

「それはお前もだろ。」

「あら?ドリンクを作ったこと?私もやりたかったからやったのよ。」

「ゾロ、聞いてくれよ。俺は甘いのみのものを作ろうって言ったのにロビンがダメだって言うんだ。だからこっそり入れておいたぞ。」

…チョッパーに可愛らしく言われ、普段ならほんわかとするところだが、ゾロの額には冷や汗が浮かんだ。
そういえば、ロビンが料理をできるのか知らない。この船の食事事情は全てコックが一人で請け負っていたからだ。
そして、チョッパーにいたってはこれである。甘党だった。
…果たして…飲めるものだろうか…?
ごくり、と喉を鳴らしたゾロの前に問題のドリンクが出される。
色は茶色だ。
チョッパーがこっそり入れた甘いものとはチョコレート…だろうか?
正直恐ろしい。
けれど…日頃から恋人であるサンジから食べ物を捨てることはダメだ、と教えられているせいで残すという選択肢はゾロにはない。

「…いただきます。」

男らしく…ゾロはコップを掴むと中の飲み物を一気にあおった。

甘い甘いチョコレートとリキュールの風味、それから…ミント?が混ざり合って…

「旨い。」

「でしょう。」

「本当か?ゾロ!」

「あぁ。」

汗をたっぷりと掻いた鍛錬の後とゾロがあまり甘すぎるものを好まないという点さえなかったらおかわりでも頼みたいぐらいだ。
ロビンのほうをちらりと見ると先ほどのチョッパーと同じようにこそりと言った。

「ふふふ、チョッパーがチョコレートを入れたがっているのが分かったからそれに合わせてレシピを変えたのよ。」

チョコレート、あんまり好きじゃないんでしょう?と優しく微笑まれ、うっと詰まった。
コック以外に自分の好き嫌いがバレていたなんて思ってもいなかった。コックは結構すぐにお前チョコあんまり好きじゃねぇんだな、と簡単なことのように言われたが。
そんなゾロの心の中など露知らず、ロビンはゾロの眉間に指を当てた。

「おいしいものを食べるとやわらかい表情になるもの。」

「…んなこと初めて言われた。」

「…?ゾロはサンジのごはん食べてる時と寝てる時は幸せそうだぞ?」

「そ、そうか。」

ニコニコと無邪気に言うチョッパーに照れるのもなんか可笑しい気がしてそっぽを向くとロビンに撫でられた。

「今日の夜はきっとコックさんの料理が食べられるわよ。」

「…おう。」


二人にお礼を言ったゾロはキッチンに行き、一杯の水を飲んでいた。
そういえばこんな間昼間で船の上なのにコックがいないのなんて初めてだな、と静かなキッチンで思う。
陸に上がった時でも“デート、しようよ♪”なんて言われるせいでほとんど一緒にいた。
なんか、と思ったところでキッチンの扉が開き、ウソップが入ってきた。

「くらえ、必殺…水鉄砲星!!」

…は?

振り返った瞬間、顔面に水がかかってきた。

「ぞろ〜!!今から水鉄砲合戦やるぞ!!」

次いで、ルフィの声。
…言うのが遅くはないか?

顔を片手で乱暴に拭い、ウソップを見る。
ひいっと声を上げたが…なんだ?水鉄砲合戦なんだろ?

「フランキー!!恐竜も殺せるような水鉄砲作ってくれ!!」

「スーパー!!俺様に不可能はねぇ!!」

「止めろ、フランキー!!俺が殺されちまう!!」


途中から海水を入れた水鉄砲でちょこまかと逃げるルフィを皆で狙い撃つゲームになったり、ナミに当ててしまって怒られたりしたが久しぶりにたくさん遊び、ナミとロビンの作ってくれたお昼ご飯を食べた。



その後もなんとなく、昼寝をする気分にもなれずにゾロは刀の手入れを始めた。
あらかた終えたところでルフィに抱き付かれる。

「…どうした、ルフィ?」

「ん〜?なんかくっついてたほうが良い気がした。」

「…そうか。」

「おう」

ニシシ、と明るく笑うルフィに溜息を吐き出せば確かに余計な力が抜けていく。

「もう大丈夫だ。サンキュ」

「おう!」



その後も珍しくブルックから打ち合いを申し込まれたりして、気が付けばいつものおやつの時間となっていた。

「おやつーーー!!!」

「サンジくんがいないだから無しに決まってるでしょ」

「えーーー!!!!????」

そんな声を聞きながら蜜柑畑へと足を進める。
蜜柑の香りに包まれて目を瞑れば、コツコツとヒールが甲板を叩く音が響いてくる。

「…今日は蜜柑取ってねぇぞ。」

「今日はおやつとして一つずつ無料であげてるわよ。」

…ナミにしては気前がいい。
そんなことを口にしてしまえば殴られるので言わないが。

「はい、あんたにもあげるわ。」

綺麗なオレンジに染まった蜜柑。
その場で剥いて半分に割り、ナミに渡す。
きょとんとしたナミにお前も食え、と言えばクスクスと笑いだす。

「私の分はちゃんとあるわよ。でもありがと。貰っておく。ゾロには私の半分あげるわ。」

蜜柑の交換をして食べ始めればナミのだった蜜柑の方が少しだけ酸っぱかった。

「う〜ん…ちょっとだけ肥料が少なかったかしら…。」

「そんなんで変わるのか?」

「変わるわよ。あんたのほうがおいしかったでしょう?少し肥料を変えて育ててみたからおいしくなったのよ。」

「ふーん、、、なら上手くできたほうくれてたのか?」

何でだ?と首を傾げればナミは苦笑ぎみに言う。

「元はと言えば私がサンジくん行かせちゃった訳だしね…まさかそんなに淋しそうにされるなんて思ってもいなかったのよ。」

…??
どういうことだろうか?

「ほら、向こうも急いで帰ってきたみたいよ?」

答えが見つからないままナミの指差す陸を見れば大量の食材を仕込んだリアカーを引くサンジの姿があった。

「サンジくーん!!運ぶのは他の男達にやらせるからこっちお願い!!」

そう言ったナミは甲板にいたルフィやらフランキーやらを連れてサンジとは入れ違いで船を降りた。
戻ってきたサンジはそのままゾロの元へとやって来て…

「ただいま。」

「…おかえり。」

「何してた?」

「…トレーニングしたり、ドリンク飲んだり、水鉄砲合戦したり…」

「水鉄砲?」

「おう。」

「…楽しかった?」

「…今日はなんか色々やった。」

答えになっていない答えを返し、何でだろうな?とゾロは首を傾げた。

「…そりゃ…あんな顔されたら放っておけなかったんだろ…。」

「…??」

「何でもねぇ。」

ぎゅっとはぐらかされるように抱きしめられ…
大人しくはぐらかされておくことにした。


なんだか今は、サンジに抱きしめられる感触を満喫したい気分だった。




ーーーーー

サンジくんが留守で自分では気付いていないけど淋しそうにしてるゾロちゃんを皆でかまう(甘やかす??)という小説です!!
…チョコミント様…本当に申し訳ないです…何がどうしてこうなった??
気が付いたらこんなんが出来上がっていました(スライディング土下座<(_ _)>)

そして図らずしもゾロちゃんが飲んでるのがチョコミントという…
いや、チョッパーならココアとか作りたがりそうだよなーとか思ったら…(^^;;


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