text onepiece 短編
爆音
どか、、、ん
近すぎる距離で爆発音が響いた。
脳がぐらぐらと揺れる。
意識を失う寸前、サンジが思ったのは抱きしめるように庇ったナミの無事と敵を切り捨てながらこちらを呆然と見ていた愛しい恋人に対する謝罪だった。
意識が浮上し、最初に見たのはやはり恋人であるゾロの心配そうな横顔だった。
こくりこくりと船を漕いでいたのにサンジが動いたのに直ぐ気付きゾロは顔を上げた。
いつもと同じ、綺麗な顔がサンジを見つめる。
心配かけてごめん、と言おうとして声が聞こえないことに気が付いた。
喉を指差しゾロに知らせる。チョッパーを呼んできてくれ、と伝えようとした。
しかしゾロの口が“どうした?”と形とるのを見て声が“出せない”のではなく“聞こえない”のだと気付いた。
そうしているうちにゾロはチョッパーを呼びに部屋を出ていってしまった。
『爆発の衝撃で鼓膜が傷ついてた。二、三日で治るから安静にしてくれよ』
チョッパーがわざわざ紙に書いてくれた文を読んだサンジは安堵の溜め息を吐き出し頷いた。
二、三日で治るのであれば多少不便ではあっても大丈夫だ。
しかし、チョッパーの横で何かを伝えようとしているナミの言葉はやはり聞こえない。
直ぐに気付いたナミもチョッパーを真似て紙に文字を書いた。
『守ってくれてありがとう』
チョッパーよりも読みやすい文字で書かれたナミの言葉。
庇ってくれて、と書かないところが彼女らしい。
「レディーを守るのは男の使命さ、それより音が聞こえないだけなら料理してもいいかな」
サンジは自分には聞こえない声でナミに答え、医者であるチョッパーに尋ねた。
それは…と言い淀んだチョッパーを珍しくも宥めたのはゾロだった。
「ま、その方がコックも気が紛れんだろ。そんぐらいやらせてやれよ。」
「わかってんじゃねぇか!でも万が一の時のために一応お前もキッチンいろよ?」
「あ?何で俺が…」
「お前が許可したからだろ。酒もだしてやるからよ。」
「…しゃあねぇな。」
チッと舌打ちをさせるゾロにサンジは楽しそうに笑った。
それを見たチョッパーとナミが唖然とする。
「え、サンジ聞こえてるのか?」
「サンジくんもう治ったの!?」
叫んだ二人にしかしサンジは振り向きもしない。
サンジがナミを無視することだけは有り得ないから、本当に聞こえていないのだ。
なら、何故ゾロとは会話が成立しているのだろうか?
「コック、ナミとチョッパーが聞こえてんのか?だとよ」
ゾロの言葉にようやくサンジは二人の方を向いた。
「え、聞こえないよ。何で?」
「だ、だって会話…」
「ゾロと話せてるじゃない。」
「え、ごめん。何て言ってるの…?」
「コック」
聞こえない、と言ったサンジに紙を用意しようとしていたが、それよりも先にゾロがサンジの肩を叩いた。
振り向いたサンジにゾロは普段話しかけるのと同じように説明をする。
「…あぁ、成る程。」
サンジもいつも通りに会話を行い…
「だって単細胞のマリモだよ?目と顔見てれば何言ってるのか分かるよ〜」
「あぁ゛??てめぇこそ分かりやすいんだよ!俺は目だけで分かる!!」
「んだと!?マリモに読心術なんか使えっかよ。そう考えると聞こえないのが俺で良かったな?」
んだとごら、やるのかおら、と殴りあい蹴りあいの喧嘩を始める二人を見てナミとチョッパーは思った。
心配して損したこのバカップル…。
はぁ、と溜め息を吐き、二人はそっと部屋を出ていった。
ーーーーー
耳が聞こえないサンジくんww
続き?書くかもです♪ヽ(´▽`)/
治るまでの二、三日を(笑)
でも今回はここまでで!!
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