text onepiece 短編 誓い (SmA) ある日、突然エースが俺の部屋にやって来て、俺の姿を見るや否や涙を流した。 それは本当に突然に…。 ボロボロと瞬きもせずに涙を流し続けるエースが嗚咽を混ぜながら言う。 「あ、あんたが…死ぬ…夢を見たんだ。」 …と。 ポカンとしているとエースは子供のように泣きじゃくりながら続けた。 「俺の目の前で撃たれて、切り、刻まれて…助けなきゃって思うのに…か、体が動かなくって、血が流れて、顔もどんどん白くなって… 、、、、こわかっ、た、、、。」 う゛〜、と泣きじゃくるエースを抱き締めて宥める。 いつも白ひげの二番隊体調として気を張っているこいつのこんなに取り乱した姿は見たことがなかった。 仲間の死だって、見たことはあるだろうに…。 そのまま背中をなで続けているとようやく少しずつだが落ち着いてきた。 途中一度だけ海兵が「海賊船を発見しました!」と呼びに来たがてめぇらでどうにかしろと言い捨てた。 …たしぎがどうにかしただろ。うん。 エースは俺の存在を確かめるように何度も抱き締め、そして夕暮れ前に船を出ていった。 俺は海賊で、あんたは海軍だ。 俺には俺の“自由”が あんたにはあんたの“正義”がある。 俺はもし、あんたの目の前で俺が死にそうになっていても、助けて欲しいとは思わない。 あんたが正義を放り出したら、誰が悪党から市民を守る? 俺は海賊だ。 何をしようと、自由なんだ。 だから、俺は、あんたを守るよ。 目の前で殺されそうになっていたら、迷わずあんたを助ける。 でも、あんたは俺を助けるな。 俺のことを、愛おしいと、少しでも想ってくれるのなら、、、 あんたは俺を、助けるな。 俺は正義を貫くあんたが、好きなんだ。 スモーカー… 、、、そう、言いおいて。 喧騒が、辺りを包んでいた。 海賊達が、仲間を助けるために乗り込んできた。 正義を背負う俺は、そいつらに立ち向かった。 後ろには、いつかに助けるなと言い、儚げに笑ったあいつがいる。 助けないさ。 助けないさ。 それが、あいつとの、誓いだから。 助けないさ。 例え、この身が…苦しみに引き裂かれたって… 俺はお前を助けるために、この手を伸ばさない。 また一人、海賊を捕らえながら、切に願う。 ーーー誰か、誰か…あいつを救ってやってくれ …と。 、、、、、願いは、叶えられなかった。 俺は海軍だ。 海賊が一人、死んだだけで、涙を流すことは、許されない。 夜空を見上げ、葉巻を握りつぶす。 「正義ってやつは…なんて重いんだ…。」 お前がいる時はそんなこと、感じたこともなかった。 葉巻が崩れ落ちる。 火の付いていた部分が風に吹かれ、飛んでいった。 頬を伝った、冷たい雫は… 闇に紛れて、消えていった。 「愛していた。エース」 こんな、愛し方しか出来なかった俺に… それでもお前はありがとうと言ってくれるのだろうか…? ーーーーー 7!!のラヴァーズを聴きながら書きました。 スモーカーさんがエースちゃんを助けなかった理由を私なりに…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |