text onepiece 短編
アイノコトバ
「てめぇなんて大っ嫌いだ。」
いつもの天然で可愛いゾロはどこへやら…
今のゾロはサニー号の上にいるにも関わらず、敵陣に切り込む時のような殺気さえ滲ませながらサンジを睨み付けている。
事の発端はつい二時間ほど前に出港したある島での出来事だ。
サンジとゾロは買い出し(という名のデート)に出たまではよかったのだが、市場に着いて直ぐにゾロはサンジとはぐれてしまったのだ。
…それはまぁ、よくあることなので気にしていない。
しかし、、、一時間ほど市場をぐるぐるとさ迷い…やっと見つけたサンジはあろうことか女と一緒にいたのだ。
道を聞かれていた、とサンジは言ったが、あれはどう見ても逆ナンされていた。
腕まで組んでいた。
しかもサンジはその腕を払い除けるどころか、やんわりと外すことさえしなかった。
しまいには女を送るとまで言い出した。
勝手にしろ、と言い置いて、キレたゾロはたまたま通りかかったチョッパーとウソップと一緒に船まで帰った。
勿論、憐れな一人と一匹は不機嫌MAXな魔獣にそれはそれは怯えた。
…それはともかく。
そしてその後、サンジも無事戻ってきて、出港となった。
落ち着いたところで、ご機嫌とりにトレーニングルームへと向かったサンジに対してゾロが言った言葉が冒頭のそれだ。
…これってもしかして……
もしかして…
「女にばっかりデレデレしやがって。どうせてめぇはラブコックだもんな。」
「俺に可愛いって言って、その口で女共に好きだだの愛してるだの言うんだろ。」
「女に抱きつかれて嬉しかったかよ?」
「…俺とは手も繋ごうとしねぇくせによ。」
「てめぇなんて大っ嫌いだ。」
これってもしかしなくても…
嫉妬…だよ、な。
………
……………
…………………ぐはっ!!!!
なんだこのご褒美。
なにこの子不機嫌な顔で俺のこと大好きですって語っちゃってんの?
大っ嫌い?
大好きにしか聞こえねぇよ。
「ゾロ」
「………」
「ゾ〜ロ」
「………」
ブスッと不貞腐れたままのゾロ
「俺の愛しい愛しいゾロちゃん?」
「………」
相変わらず不貞腐れていたが、ピクリと肩が揺れたぜ?
ほら、顔だって少し赤く染まってる。
「あの女の子な、、、目が見えねぇんだって。」
含ませようにそう言うと、ゾロは目を真ん丸くした。
「、、、、は?」
「だから、目が見えないんだと」
「目…が?」
「おう。で、いつも使ってる杖が折れちまって、困ってたから声かけた。腕組んでたのはその方が安全に歩けるから。」
ぽかん、と口を開くゾロ。
可愛いな。
…とか思っていたら、ゾロの顔がかぁっと赤くなった。
冷静になって勘違いと自分の言った言葉を思い出したんだろう。
「………」
「………」
「……悪かった」
「ん、嫉妬してくれて嬉しかったぜ。」
「………」
「今度の買い出しの時は手、繋ごうな♪」
「………」
「それと俺レディーに好きとかは言っちゃうかもしれないけど愛してるって言うのはゾロだけだし、抱きつかれて嬉しいのもゾロだけだよ。」
「………馬鹿」
「…ゾロ、不安な時は言ってよ。俺が絶対に取り除いてあげるから、さ。」
「………ん」
「…愛してるよ、ゾロ。ゾロだけを、愛してる。」
「………俺…も、あ、愛してる…。」
ーーーーー
恋人設定で、ゾロちゃんが不安になっちゃうの!!
でもまったくの誤解っていう(^_^)
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