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text onepiece 短編
うちのコック
うちのコックは面白いやつだ。


「んなぁ〜みすわぁ〜ん、ろびんちゅわぁ〜ん。紅茶とコーヒー淹れたんだけど飲む〜?」

「勿論♪」

「ええ、頂けるかしら?」

「メロリーン♪」

…一応は男前に分類されるであろう顔をこれ以上ないほどに崩し、阿呆なことをやっている。
ああ、残念なやつなんだなとよく思う。
チョッパーはいつかあいつの“変”を治す薬を作るんだって意気込んでいた。(何故か俺の“駄目”に効く薬も頑張って作るからな、と言われた。)


「てんめぇ!!このクソゴム!!盗み食いするんじゃねぇって何度言えば分かるんだ!!」

「俺盗み食いしてねぇよ!!」

「…へぇ〜。なら口の横に付いてる食べかすは何だ?」

「え゛……嘘だ!!鏡見て確認したからもう残ってるはずねぇ!!」

「…やっぱ盗み食いしてんじゃねぇか!!今日晩飯抜きだ!」

「えぇぇぇ!!!」

また馬鹿をやったらしいルフィを怒鳴り散らすのは憤怒の表情。

「今回のは自信作だったからレディー達に食わせてやりたかったんだよ!!」

「あとゾロもだろー?この前ゾロが食いたいって言ってた…ん〜?…つみれ鍋、だっけ?それだったもんな!うまかったぞ。ニシシッ」

「てめぇ!分かってて全部食いやがったのか!?ふっざけんな!!」

あ、ルフィが蹴っ飛ばされた。
ゴムだから打撃は効かないっつうんだからコックも報われねぇよな。
明日の朝、昼メシは野菜ばっかりのヘルシーレシピになるな。
ナミが最近運動不足だって愚痴ってたから喜ぶな。
でもきっとルフィの要望に折れて夜には肉を出すだろう。
そこで無視出来ないのがコックだ。

…とかなんとか思ってたら蹴っ飛ばされたルフィが飛んできた。

「あ、ゾロ!」

…呑気に空中で呼んできたが無視して寝っ転がったまま避けた。
今まで俺がいた所にルフィが叩きつけられる。

危ねえな。蹴る方向考えやがれ、と文句でも言おうとコックを見ると、、、何故か凄く変な顔をしていた。
…言うならば、後悔しているような…?

「ゾ〜ロ〜、サンジが酷いんだ!つみれ鍋ちょっと食っちまっただけなのにすんげぇ怒るんだ!!」

コックの顔を観察していると、やはりダメージなどなかったらしいルフィがムクッと復活して、仰向けの腹の上に顔を乗っけてきた。
別に重くもないので何も言わない。

…つみれ鍋、か。
そういやこの前リクエスト聞かれた時に食いたいって言ったな。
コックにつみれの作り方を聞かれてうっすらと覚えていることを教えたが、次の島で詳しく調べるからちょっと待っててくれ、と言われた。
…どうやら説明が足りなかったらしい。
で、この前の島でつみれの作り方を調べて、作ったらルフィに食べられたってとこか。
…御愁傷様。

ちらりとコックを見る…。

…何故か真っ赤な顔になっていた。
理解不能だ。
つーか、顔が歪みすぎて酷いことになってんぞ?
ありゃ、怒ってんのか?
…何に??
チョッパーに早く“変”に効く薬を作ってもらわないとヤバいかもな。

「ゾ〜ロ〜。腹巻きがふわふわでポカポカで気持ちいいな!」

お、また赤くなった。

「髪もあったかくなってんぞ!ゾロの髪はふわふわだな!」

おぉ…さらに赤くなるのか…。
こりゃトマトだな。
眉間に皺が寄ってるから潰れたトマトだ。
…あいつはどこまで赤くなるんだ??

「ゾロは抱きやすいなー」

…サンジを観察していたゾロは気づいていなかったが、、、現在、ルフィはゾロを抱きしめている。

なのになんの抵抗もせず、されるがままになっているゾロを見ていられずサンジは下を向いた。
長い前髪がサンジの顔を隠す。

困ったのはゾロだ。
せっかくどこまで赤くなるのか観察していたのに見えなくなってしまった。

仕方なく立ち上がろうとして…腰に絡み付くルフィに気付いた。
べりっと剥がしてコックの元に歩く。

不満の声も聞こえたが無視だ。

ごつ、ごつとゾロの重いブーツの足音が響いているはずななのにサンジは顔を上げない。

ひょい、と覗きこんだコックの顔には

「…!?」

…涙が滲んでいた。

何でこいつは泣いてんだ?

顔を覗きこんだまま首を傾げていると、再びサンジの顔が赤くなってきた。

おぉ…すげぇ…。

あ、止まった。

ん?青くなってきたな。



「ゾロ、ごめん、、、クソゴムにつみれ鍋全部食われた。」

「ん、知ってる。ルフィが自分で言ってた。」

「…お前が食いたいってリクエストしてたのに…」

「また作れば良いだろ。」

「つみれには鰯だって聞いたんだよ。でも仕入れた鰯ルフィに食われてもうねぇんだ…。」

ん、また泣きそうになってやがるな…。

つーか、こいつは何を言ってんだ??

「だから、、、
また次の島で仕入れて作れば良いだろ。」

「…へ?」

「買い出しの荷物持ちやってやるからルフィに食われてもいいぐらい買ってこようぜ」

そう言うとコックの顔がボンッと音のたちそうなほどに赤くなった。
…さっきのトマトは訂正だ。
ハバネロだな、うん。

「…ボソ(ゾロと買い出しデート)」

ん?なんかボソッと言ったな。
んなボソボソ言われても聞こえねぇよ。

「ああ、そうだ。鍋の出汁も全部飲まれたのか?」

「いや、、、出汁だけはかろうじて残ってる。」

「よし。ならそれに適当な具追加して雑炊にしようぜ」

鍋の後の雑炊旨いよな、とにっこり笑うとコックは目を真ん丸にしてから…

「お、おう!」

嬉しそうに目を輝かせた。
それからやる気になったみたいで キッチンへ飛ぶように帰っていった。



…うちのコックは面白いやつだ。

ころころ、くるくる表情が変わって…
万華鏡みたいだ。
あんまりにも面白くって、今日みたいに目が離せなくなる時があることは…コックにはナイショだ。



ーーーー

サンジくんを振り回すゾロちゃん
だけどゾロちゃんだってサンジくんに釘付けなの(^w^)
でもサンジくんはルフィとかを意識しすぎてゾロちゃんの視線に気付けない。
ルフィはゾロの視線の先を知ってるけど、ゾロちゃんがぼーっとしてるのを良いことに好き勝手して(笑)

サンジくんの表情と感情、分かりますか??
きっと「近いんだよクソゴム…」とかぶつぶつ呟いてますよ!!
分かりにくかったらごめんなさいm(__)m





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