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深夜の酒盛り
普段の食事でゾロが好きそうにしていた味や…一日で無くなっていた酒の種類等を思い出しながらゾロの好みの酒を考える。

…取り合えず度数の高いウィスキーとかはよく呑む…。でも多分そんなに好きじゃないと思うんだよな…。
米酒の辛口は…好きだよな。辛口でも芳醇なやつ。あとは水の味がしっかりしてるやつとか…。
ワインは赤よりも甘くない白。甘い白よりは赤。…だと思う。

ドキドキしながら数種類の酒を選び少しずつゾロに渡していく。
手早く作ったつまみも並べる。
多分…ゾロの好みの味になってるはずだ。
はず、と言うのはゾロは食事の最中においしいだとか旨いだとかを言わないからで、、、ゾロの好物を知るのは他のクルーの好物を知ることの何倍も難しい。
食の進み具合や仲間からの旨いな、という問いかけに対する反応(その大体が頷くだけという…)、口に入れた時の僅かな表情の変化から読み取り、時々好物と思われるものを出してみる。
…が、やっぱりゾロは何も言わないのだ。作り甲斐が無いとは思わない。寧ろ旨いもんを食わせて思わず破顔でもさせてやりたいと思う。
…サンジはポジティブなのだった。

、、と、話しを戻して、、、。

つまみを並べたサンジは箸を手に取るゾロの反応を瞬き一つするのもおしいとばかりにじっと観察していた。
まずは一口食べたゾロの右の眉がピクリと動いた。次に米酒を一番に手に取り度数の強さなど関係ないとばかりにグラスを傾け…瞠目した。

その様子を見てよっしとサンジは心の中でガッツポーズをした。

「旨ぇだろ?」

頷くゾロにへへっと笑った。

「空瓶が増えていくの見てよ、ぜってぇお前はこっちの酒のが好みのはずなのに、って思ってたんだ。気付いたらもう少し出してやろうって格納庫にストックまであんだぜ?」

見開いていた目を更に大きくしたゾロは…ポツリと何かを呟いた。
ん?と聞き返すとその翠緑の瞳を揺らした。

「…お前は…俺が嫌いなんじゃ…ないのか?」

今度はサンジが瞠目する番だった。
嫌ってなんかないです。寧ろ大好…いや愛しています。

「俺がお前を…嫌う?あり得ねぇな。その逆はあっても、な」

…格好つけて言った言葉にゾロがほんの少し目を丸め…

「その逆?…お前が、俺を…好き?」

「いやっ…違っ!!」

いやいやいや…何を言っちゃってるんですか?ゾゾゾゾ…マリモさん??
いや確かにお前のこと好きで好みの味とか知るためにストーカーのようにマリモ観察日記なるものを密かに書いてたりもしちゃいますが…。
一応は俺は男で、お前も男で?
いくらお前が反則級に可愛いからってんなこと言ったら殴られそうだし?
好きだなんて間違っても言わないようにしないとって思ってるのに?
…それをお前が言っちゃう??

心の中でさえゾロのことを名前で呼べない(ヘタレ)サンジは混乱で取り乱しながら言う。
格好つけていたのが台無しだ…。

「そそその、逆っていうのは!…普通に考えてお前が俺を嫌うってことだろっ!!」

「…そ、そうか」

ゾロも十分混乱していたのだが、サンジがそれ以上に混乱してるのを見て若干引いていた。
…自分以上に混乱してる人がいると冷静になれるよね(笑)

「おう!!」

「………」

「………で?」

「…で、って?」

「…だから…お前は?お前は俺のこと…やっぱり嫌いか…?いつも喧嘩ばっかだもんな」

ははっ、と自嘲気味に笑うサンジにゾロは首を傾げた。
ついではっと今日の夕飯前のナミとサンジの会話を思いだし、、、残りの酒をぐいっと飲み干しコップを置くとサンジに詰め寄った。

「お前は喧嘩したくねぇのか?…やっぱり…止めたいって思ってるか?」

…サンジの頬がかぁっと色づいた。
いや…内容こそ喧嘩だが酒でほんのりと上気した頬や、したくねぇのか?と詰め寄る仕草や、伏せられる翠緑の瞳は…その……誘われているような気にさせられる。

…わざとか!?わざとなのか!!??
わざとだとしたら…恐ろしい…。

ぐっと気合いと根性で理性を総動員させ、バラティエのパティやカネルなんかを思いだしながらゾロを抱きしめようとする腕をテーブルへと縛り付ける。

「お、お前は喧嘩してぇのか?」

なんとか意識を別のところ…喧嘩に持っていこうとサンジは必死だ…。

「喧嘩っつうか…ずっと戦闘がない時間が続くと…腕が鈍りそうで恐い」

「…そうか。でもなんで俺なんだ?お前ルフィとは喧嘩しねえじゃねぇか」

「ルフィはゴムだからな。どっちかっつうと避けれない攻撃は受けちまえっつう考え方だから…下手したら本当に切っちまう。でもお前なら避けて、足で受けて、、、無理だと思えば最小限の怪我ですむように動くだろ?お前になら遠慮しないで刀を振れる。」

これは…俺の事、信頼してくれて、、る?

「あとお前いつも仕事ばっかで俺のところに来るのは喧嘩するときだけだからな」

!!??!!
(゜ロ゜)(°Д°)( ̄□ ̄;)!!

何、この子??
めっちゃ…めっちゃ、可愛いんですけど??
目線少し斜めにしちゃって?もしかして拗ねてます??
俺が仕事ばっかだから?


(////)


「でもお前が嫌ならもうしねぇ。悪かった」

目線をずらしていたゾロは真っ赤に染まったサンジの顔を見ていなかった。

そしてサンジは感激のあまりゾロの言葉を聞いてはいなかった…。


「ゾロ〜〜〜!!好きだ〜〜〜!!!」


、、、、、。


「そ、そうか」

「おう!どんな美女よりも愛してる!!」

「…そんなにか?」

「俺の気持ちを疑うのかよ!?」

「…い、いや」


で?
返事は??



「そ、そうか…そんなに喧嘩が好きなのか…」


…は?

「そんなに喧嘩が好きならやっぱり遠慮しなくてもいいな。…これからもよろしくな、サンジ」


突然呼ばれた名に…サンジは固まってしまった…。
ゾロはそれを承諾ととり…

「よし!酒もなくなっちまったし、お前もう寝ろ!」

…幸せそうに固まったままのサンジをキッチンに置いて男部屋へと行ってしまった…。



「……………え???…」




こうしてメリー号では今日も変わらず斬撃と蹴りの飛び交う喧嘩が日常として行われるようになった。

けれど、変わったことも一応ある。

喧嘩という名の鍛練の後、サンジがゾロに特製のドリンクを出して少し話しをするようになったことや、皆が眠った後で見張りを兼ねた酒盛りが行われるようになったことなんかも…。

その度につまみを用意する健気なコックさんはそれはそれは幸せそうだとか…。


終り♪



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