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どうかYESと言ってください
夜、寝ず番だったウソップに代わるとだけ言い、サンジはゾロを探していた。

男部屋にいないことは確認済だ。

キッチンには毛布も置かれたままで、ゾロも船のどこかで起きているのだろう。
キッチンから出て甲板、船頭、船尾とくまなく探す。
…けれど、ゾロの緑頭はどこにも見えない、

船の中に入り格納庫も見た。
けれどそこにもゾロはいなかった。

「…あいつ、どこにいるんだ?…船の上にいるよな?」

狭いメリーの中だ。
探す場所もそんなに多くない。
あとは蜜柑畑だけと格納庫を出たサンジの肩を誰かが掴んだ。

「…?」

振り替えるとそこには一本の腕。

「ロビンちゃん?」

こんなことをできるのはロビンだけだろう。
尋ねると腕が招くように動いた。

床には同じように腕が何本も生えていて、サンジをどこかへ誘導しようとしている。

「ゾロの居場所を教えてくれてんのか?」

思わず呟くと、そうだと言うように、、、早く行きなさいと後押しするように、、、後ろの腕に押された。

…連れていかれたのは甲板の上。
でもここにはゾロはいない。
…と思っていると、一本の腕がある一点を指した。

メリー号の柵…いや、柵の下?

そちらへ行き、下を覗きこむと、、、ゾロがいた。

メリーの柵に縄を縛り、適当な木の板で足場を作り、そこに座っていた。
…多分ウソップにでも作らせたのだろう。

ゾロは覗きこんでいるサンジに気付いているだろうに、ピクリとも反応をしなかった。ただただ、じっと暗い海を眺めてる。
なんだか、、、ゾロは今にも消えてしまいそうで…サンジも言葉を紡げない。

どれ程の時間が経ったのか…

「何か…用か?」

ゾロがポツリと呟いた。
サンジを拒絶する色を含んだ言葉だった。

「用ってほどじゃないんだけど…今日お前の顔見てねぇなって。」

「…悪かった。明日からは…普通にする。」

“何で俺のこと避けてんの?”と聞きたいところをぐっと堪え、さりげなく言うと、やはりゾロはサンジのことを見もせずに答えた。

おかしい。
ゾロらしくない。
目を合わせようとしないことも、聞かれたことに対して誤魔化すような答えをすることも…。

「…俺、何かした?」

ピクリと、ゾロの肩が揺れた。
けれど…

「お前は何もしてねぇ。本当に…。明日からは普通にするから…今日はもう放っておいてきれ」

返ってきたのは明らかな拒絶だった。

「…分かった。でも明日からはちゃんと夜来いよ。」

“じゃないと眠れないだろ”と言おうとした時…サンジのほうを見ようともしなかったゾロがばっと振り返った。

「……ふざけんな…思わせ振りなことばっかしやばって…どうせお前はロビンとかのほうがいいんだろ!!」

、、、、?
何故にロビンちゃん?
いやいや、ロビンちゃんも綺麗で可愛くって大好きだけど恋愛的な意味で俺が好きなのはゾロであって…ってもしかして…ゾロ、ヤキモチ?
いやどこに?

ぐるぐると考え込んでいると、ゾロはすと立ち上がり、柵を乗り越えて船の上に立ち、そのまま歩いていってしまった。
咄嗟に腕を掴む。
振り払われる前にその腕をぐいと引き、両腕で捕まえる。
奇しくも抱き締める形となったがサンジは必死なので気付かない。
腕の中にいるゾロだけがそのことに気付き、その頬をほんのりと色付ける。
しかしすぐに何かを思いだし、唇を噛んだ。
大人しくなったゾロにサンジは優しく語りかける。

「ゾロ、どうした?何にそんなに傷ついてる?俺とロビンちゃんが何かしてた?」

小さくなった体を落ち着かせるようにポンポンと撫で、サンジは答えを待つ。

「昨日…」

「うん」

「ロビンと話してた。」

「うん」

「俺と…付き合ってないって言った。」

「……うん?」

………え?俺と…ゾロが付き合ってないって…?
え、俺ってゾロと付き合ってたの?…いやいやいやいやいや…

「え、俺とゾロって付き合ってたの?」

…言った瞬間殴られた。
しかしサンジはゾロの体を離さない。…流石はサンジだ。よく分かんないけどなんか流石だ。

「ふざけんな!!俺だって夫婦は一緒に寝るってことぐらい知ってんだぞ!!」

「………」

「何か言えよ!!」

「…え」

「…あ?」

「…えええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」

「うっせぇ!!」

いやいやいや、確かに夫婦は一緒に寝ますけど、でもそれは俺とゾロの添い寝とかじゃなくってその、、、ってその前にどっちが“夫”でどっちが“婦”?
いやいやそんなことはどうでもよくないけどいいから…

「いや俺ゾロに告白とかしてないよね
?」

「好きだって言ったじゃねぇか!!」

「いつだよ!!」

「ローグタウン出た夜言ってただろ!!」

「寝ぼけてなかったのかよ!!??」

「寝ぼけてたけどびっくりして一瞬で起きたんだよ!」

「…じゃあ分かった。百歩譲ってあれで告白したとする。だったとしても俺はお前から返事を聞いてない。」

「嫌いじゃないって言った。」

「嫌いじゃないイコール好きですにも告白の返事に対するオーケーの返事にもなんねぇんだよ!!」

ゼエゼエと(何故か)荒い息を吐き出して…サンジがぷっと笑った。


何だよ。
…まだるっこしいことばっかして…結局両思いだったってことかよ…。
つーかいつから…。

「なぁ、ゾロ」

ククク、と喉を鳴らしながら言うとゾロは不機嫌そうに

「何だよ」

…と。

「俺さ、ゾロのことが好きなんだ。同性だし嫉妬深いし、もう離してやれないけど…そんな俺でも良い?」

頷こうとしたゾロを止めて、言葉で聞きたいと囁く。
ゾロの顔がみるみるうちに赤く染まっていき…

ドガンッ!!!

「うぐっ!?」

…サンジが吹っ飛ばされた。
柵にぶち当たり、ぎりぎり止まった。…柵は大破したが。
ゾロは殴った後の格好のまま、

「俺だって、、、お前じゃなきゃ嫌だ!……馬鹿!馬鹿コック!!」

言い終わると同時に蜜柑畑のほうへ逃げていってしまった。
残されたサンジはというと…

「な、ナイスツンデレ…」

どこまでもタフだった…。




こうしてゾロちゃんとサンジくんは晴れて恋人同士になりましたとさ…。




                 END



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