貴方の返事を聞かせてください… 3
おかしい
おかしい、おかしい、おかしい…。
メリー号はさして広くはない…言ってしまえば小さな船だ。
ましてやゾロはいつも、恐ろしいほどの量の鍛練の後に水を飲みにキッチンへとやって来る。
俺は水の代わりに特製ドリンクを渡して少しの間まったりと過ごす時間が気にいっていた。
…のに、何故か今日は来なかった。
代わりにウソップが水を汲みに来た。
喉が渇いたなんて言っていたが、来た時間がいっつもゾロがやって来るぐらいの時間で…きっとゾロの代わりに来たんだろうと思ったからドリンクを冷蔵庫から出して渡した。
ウソップは一瞬キョトンとしたが何の疑問も言わずに礼だけ言うとキッチンから出ていって、直ぐに空になったグラスを持って帰ってきた。
何だったんだとは思ったが、その時は大袈裟に捉えてはいなかった。
精々、鍛練をしすぎて動けなくなったのかな、ぐらいだ。
けれど、料理の支度の間に空いた時間に暫しの休憩タイム〜と探しても見つからなかった辺りからおかしいと感じ始めた。
いつもは甲板でぐうぐう寝てるのにどこにも見当たらない。
男部屋も格納庫も、一応トイレとお風呂も覗いたが、どこにもいなかった。
…本当にどこにいるんだ?
女部屋は見ていないが、そこじゃないよ、、、な?
そして極めつけが、、、
「サンジ、ゾロが夕ご飯いらないって」
「あ゛あん?」
思わず威嚇するような顔で振り返ってしまうと、話しかけていたチョッパーがガタガタと震えてしまった。
…なんか悪ぃことしたな。
……じゃなくて!!
「あいつ、俺の作った飯を食わねぇってか!?」
怒りと悲しみが…半々。
それでも他のクルーの手前怒った態度をとると、チョッパーは慌てた。
「なんかゾロ本当に体調が悪そうなんだ。だから今日だけは許してあげてく
れよ。俺、ご飯の時に食べやすそうなもの選んでゾロに取っておくからさ。」
「…んなことしてたらお前が食えねぇだろ。…わかった。俺が後からあいつの好きそうなモンで食べやすい料理を別で作る。だからお前は気にせず食え。」
底無しの胃袋を持つルフィがいるのだ。
食べやすいものを選んでいるうちに何も残らなくなってしまう。
そう言ってやると、チョッパーは少し躊躇ったが直ぐに頷いた。
皆が食べ終わって食器を片付け、米を取り出した。
すでに炊いてあるものだ。
それを鍋の中に入れ、水、白菜、葱、大根、、、それに豚肉を少し。
塩と醤油で味付けながら煮て、最後に溶き卵を薄く薄く入れて、もう一煮たち。
器に盛った後に自分で漬けた梅干しを一つ、上に乗せる。
あいつは柔らかくなった米があんまり好きじゃないから硬めになるように…。
作り終わってはたと気付く。
俺はこれをどこに運べばいいんだ?
船の中を探してしまえばしその間にせっかく作った雑炊が水を吸ってしまう。
うわ、と焦りつつもゾロのいそうな場所を思い浮かべながらキッチンの扉を開けた。
、、、ら、扉のすぐ側にチョッパーがいた。
「あ、サンジ!!」
「おうチョッパー、良いところにいた。ゾロの居場所教えてくんねぇか?」
しかし、チョッパーはフリフリと首を横に振りサンジの手からトレイを取った。
「ゾロがサンジに会いたくないって言うんだ。」
「…は?」
「だから俺が運ぶよ。早く仲直りしろよ」
「………え?」
呆然としていたサンジがようやく声を出せたのはすでにチョッパーが去った後だった。
「…今日は喧嘩、してねぇよな。」
つうか喧嘩していたとしても顔も見たくないとは言われたこともない。
今日は見かけないとは思ったが…
「何なんだ…?」
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