[携帯モード] [URL送信]
出会い
アイツの第一印象は何だっただろうか?

正直、レストランに大砲ぶっ放してきやがったアホと美しすぎる航海士様の印象が強すぎて余り記憶に残っていない…。
ただ、何となく…緑の髪なんて珍しいな、と思ったぐらいか…。
(あ?長っ鼻?………わりぃな。男は俺の目に写らないんだ。)

それから世界最強の剣士である鷹の目・ミホークとの死闘を見せられた。

なんて野郎だ、と思った。

こいつが彼の有名なイーストの魔獣と呼ばれるロロノア・ゾロだったのか、とか
最強を目指すと決めた時から命なんてとおに捨ててる、とはこういう意味なのか、とか
命が無くなったら野望どころじゃねぇだろ馬鹿、とか…

言いたいことは山ほどあった筈なのに…
わざわざ死に急ぐ、あんな馬鹿の生きざまなんて、到底理解出来ない筈なのに…

俺は格好いい、と…思っちまった。

俺が船に乗った理由は夢を叶えたい、とか
ルフィに着いていきたい、とか…
そういう気持ちも勿論ちゃんとあったんだけど…やっぱり一番はあの男の隣を歩きたい、そう思ったからなんだと思う。

だから、アーロンと戦いナミさんの故郷を去った後で、そういえばお前の名前って何だ?と言われた時は…正直ショックだった。
いや、呑気に自己紹介をする暇だってなかったんだから落ち着いた今聞かれるのは何らおかしいことではないのだけれど…
それでもやっぱり俺のことになんか興味ねぇのかと思ったら無償に悲しくなってしまった。

あ、涙なんかも滲んできた。

「ゾーロー、お前人の話聞いてなかったのか?コックのサンジだ。うんめーメシを山ほど食わしてくれっぞ」

シシシ、と笑いながらのルフィの言葉を聞いたゾロがコック、サンジ、と呟く。

「サンジ、だな。覚えた。」

にこり、と小さな笑みまで浮かべて名前を囁かれ、全身の血が沸く。

「コココ…」

鶏?とこてんと傾げられた無防備な表情に…落ちた。
ぶっちゃけもう、男だとかどうでもよくなってしまった。
かわいーゾロかわいーと叫びたくなるのを必死でこらえる。

「コック、コックって呼んでくれ!!」

訝しげに眉を寄せる、その顔さえも可愛らしい。
戦っている時はあんなに男らしいのになんだこのギャップは!!
あれか?心を許した奴限定か??
この可愛らしさはもはや反則だろ???
こいつ男だよな?男なんだよな??
なのに…どんな美女でもこいつには敵わないと思わせられる。
あぁ、そんなに可愛らしく名前を呼ばれたら身がもたないよ〜。

と、内心めちゃくちゃ早口でゾロを褒め称えながらサンジは再びコックって呼んでくれ、と叫んだ。

ますます眉間のしわを深くしたゾロにルフィが何か、耳打ちをした。
あぁ、俺の(オイ!!)ゾロに近づきやがって、と思いながらも船長であるルフィを蹴り飛ばすことも出来ずにサンジはその光景を落ち着かない心で見ていた。

……と…?
ゾロの顔が不機嫌そうに…なっていく?

そんなゾロもかっこ可愛いと思っていたサンジは…恐らくアホなのだろう。

「俺からは名前も呼んでほしくないってか!!悪かったなぁ、そんなことにも気付いてやれなくってよ!!安心しろ。もう二度とテメェの名前なんて呼ばねぇ!!

じゃあなアホコック、いや、グル眉!!」

一応はコンプレックスであるはずのぐるぐると巻いた眉毛にも反応することが出来ず…ドスドスと足音を立てて離れていくゾロのことをポカーンと見送ってしまう。

二シシ、と笑う声が聞こえ

「サンジもゾロ狙いか〜。でもゾロは俺のだからな。やんねーぞ。」

言われた言葉に…どうやらゾロに何やら吹き込まれたらしいと気付く。

………
………………
………………………

「こんの…クソゴム〜!!」

思い切り、魚人と戦った時よりも思い切り振り上げられた脚は当たることなく、器用に避けられてしまった。
標的は再びニシシ、と笑うと次の瞬間にはそのゴムの腕を伸ばし、離れていったゾロに抱きついた。
そのままゴムの伸び縮みを利用しゾロの元へと飛んでいった。
ゾロはそれを振り払うわけでもなく、大人しくされるがままになっている。

ゴビーン(゜ロ゜)

え、こいつら付き合ってるの?
もしかして俺、恋に落ちて3分で失恋??
この先二人がイチャイチャしてるのを見なくちゃいけない???

マジで…?

もう…いっそ、このまま海に飛び込んでみようかな?
そうだ。この俺が男に惚れることさえ異常なんだ。
海にでも飛び込んでみれば冷静になるかもしれない。


ぐるぐるぐるぐると考えこんで、何か恐ろしい結論にたどり着きそうになった頃、麗しの航海士様、ナミさんの白い手が肩に乗せられた。

労るような、その仕草に…思わず尋ねてしまった。

「ナ、ナミさん…あいつら…ルフィとゾロって付き合ってるんですか?」

声は自身でさえ驚くほど震えてしまっていて、それだけでゾロのことが好きだと白状しているようなものだ。
しかし優しいナミさんはそこには触れず、にっこりと笑って教えてくれた。

「私も初めから仲間だったわけじゃないから断言はできないけど…多分付き合ってはいないわよ。ゾロにこの間好きな人いるって聞いたら“いたことない”って言ってたから♪」

「ナ、ナミさんっ!それってほんと…」

…うですか?

希望が戻ってきたサンジの言葉を、ナミは優しく遮った。

「でもね、サンジ君。敵はルフィだけじゃないのよ。」

丁度タイミング良く通りかかったウソップを呼び止める。

「ねぇウソップ、ゾロのこと、好き?」

ウソップは多少戸惑いながらもあぁ、と頷いた。
殴られたように固まったサンジを見て、ナミが見えないようにニヤリと笑う。
それから…ニコッと、一番可愛く見える笑顔を浮かべ…

「それに…私だってゾロのこと好きよ?」

…サンジを地獄に落とす言葉を告げた。

サンジは…よほどショックだったのか甲板の上にうちひしがれた。
ガーン(|| ゜Д゜)という効果音が見えそうだった。



「…ナミさ〜ん…敵はルフィだけじゃないって……敵しかいないじゃないですか〜!!」



一味に加わったばかりの金髪のコックさんは、その整った顔に涙を滲ませ甲板の上に平伏せた。
緑の髪の剣士さんが心配そうに…(変なヤツ、という目で…)見ていたが幸か不幸かコックさんがその視線に気付くことはなかったとさ…。



続く…。


[*前へ][次へ#]

2/26ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!