[携帯モード] [URL送信]
その理由は
「なぁ、コック。なんで俺、この前寝ちまったんだと思う?」

夜、寝ず番をしているゾロに夜食を持っていったサンジは唐突に聞かれ、けれど“この前”が何時を指すのか直ぐに気付き、、、固まった。

…それ、俺に言わせちゃう…?

「コック?」

顔を覗きこまれ、サンジは固まったまま体温を上げた。
すぐ近くでゾロの金のピアスがしゃらりと揺れ…それが無償にゾロを近く感じさせる。
動揺したのが悪かったのか、気付けばサンジは口走っていた。

「この前と同じ状況になれば分かるんじゃねぇか?」

…と、、、。




キッチンから取ってきた毛布に包まれ、ゾロとサンジはあの日の再現をしていた。
…つまり……サンジに膝枕をされるゾロ…である。

「…ど、ど、ど、どうだ?ゾロっ、寝れそうか?」

おいおい、いつものラブコックはどうしたと言いたいようなサンジの狼狽ぶりにゾロはわかんねと小さく呟いた。

毛布から顔だけを出し、サンジの足の上からサンジを見上げるゾロは、本当にこれが魔獣…海賊狩りのロロノア・ゾロなのかと疑うほどに普段の凶悪なオーラがなりを潜めている。
こうして見ると普段喧嘩(訓練だよ!! byサンジ)ばかりしている二人とは到底思えない。

「ん〜…落ちつくっちゃ落ちつくけどな…。でもよ、コック。コックはいいのか?」

“あの日”に一度名前を呼ばれてから、またサンジの呼び名は“コック”に戻ってしまった。
淋しいような、(名前を呼ばれたら絶対に照れて挙動不審になってしまうので…)ホッとしたような…。

…そこ、不憫だとか言わないであげて(笑)

「…?何がだよ?」

「明日だって仕事早いんだろ?それにお前女好きだし。男の俺にこんなこと…嫌だろ?」

正直、自分の膝の上にゾロがいるという大変美味しいシチュエーションに大分舞い上がっていたサンジは、もしもゾロが眠れたらその寝顔を一晩中眺めていようと思っていたし(前回は疲れすぎていて眠ってしまった。…不覚にも…不覚にも!!)、ゾロが眠れないのならこのまま喋っていてもいいと思っていた。

…だから…

この状態でゾロの口から嫌だろ?と言われたことは結構ショックだった。
確かに自分は女好きだ。
でもその俺が、こんなにも態度で示しているのに…お前はまだ、俺の気持ちに気付いてくれないのか?


「…確かに俺は、レディーが好きだ。」
「でもな、“愛して”いねぇレディーには膝枕なんてしねぇ。」
「野郎になんて、考えただけで鳥肌が立つ。」
「…でも、お前には嫌じゃねぇ。寧ろしてやりてぇって思う。」
「…この意味、分かるか?」

「…?」

キョトンとした顔のゾロ
…分かってねぇだろうな。

「…お前は特別ってことだよ。」

「…特別?」

おう、と頷いてやるとゾロは嬉しそうに笑った。
それだけに留まらず、サンジの服に顔を埋めた。

きっと…てか絶対恋愛方面には捉えてねぇんだろうな、とサンジは遠い目をしながら緑の頭を前と同じようにぽんぽんと撫でた。

「…コックの匂いがする。」

ぐりぐりと服に顔を押し付けていたゾロがぽつりと洩らした。

「俺の匂い?」

いや普通に風呂入ってきたけど…まさか臭う?とドキドキしながらどんな?と聞く。

「色んな食い物の匂いと…コックの匂いが混ざってて…あぁ、そうか。この毛布もキッチン…のだからか、同じ匂いがする。俺…この匂い…好き…だ……。」

目を瞑って匂いを嗅ぐゾロは少しずつ上へと上がってきて…だんだんと目がとろんと潤んでいき、はぁっと息を吐き出す。
その様は…普段は性欲など見せようとしないゾロだから余計に、、、エロかった。

だから…好きだと言われた瞬間、サンジの中の何かがプツリと切れた。

「ゾロ〜!!俺も愛してるぜ〜!!」

がばり、と抱きしめてからサンジは固まった。

絶対…絶対、絶対、絶対、絶対、、、ゾロは“匂い”が好きなだけだ。
俺がさっき言った特別の意味もわかっていない。
こんな…愛してるなんて言って抱きしめたりなんかしたら…殴られるか困惑されるかだ。
せっかくここまで懐かせたのに…また警戒させちまうっ!!

…が、ゾロはいっこうに動こうとしない。

「…ゾロ?」

それどころか、サンジの胸に顔を埋めたまま、きゅっと服を握ってきた。

これは!!まさかの…ゾロも俺を好き!?
OKってことでいいんですかーーー!!!???

「ゾロ〜〜〜!!!」

「……くーー」

「………へ?」

「くーー…すーー…」

「…ゾロ?」

恐る恐る呼んだ名にゾロはんん、と反応した。
服の袖を握ったままこちらを向いたゾロの顔は目元が少し赤らんでいて、軽く開いた口から見えるしたの赤さが扇情的で、ぐりぐりとサンジの体に押し付けられる頬はとっても柔らかそうで、、、その翠緑の瞳は閉じられていた。

…そりゃねぇだろ、とゾロを抱えたままがっくりとするサンジに、ゾロが口を開く。

「サ、ンジ?」

やべ、起こしちまったか?と思い、その顔を覗き込む。
サンジは寝て欲しくない訳じゃないのだ。…いや、タイミング的には寝てほしくなかったが、、、あれ?殴られてたかもしれないことを考えると丁度良いタイミングだったかな?、、、まぁ、とりあえず、、、サンジはいつまで経っても夜は眠ろうとしないゾロの体が心配なのだ。
寝れるのなら寝させてあげたい。

「…どうした?」

サンジを探しているゾロに小声で尋ねると、安心したような気配が流れた。
薄く、その瞳が開く。
綺麗な翠緑が、サンジを捉えた。

「…俺、お前のこと、嫌いじゃ…ねぇ。」

…そして、それだけ言うと、再び閉じられてしまった。

くー、くー、と規則正しい寝息だけが響く。

しばらくして…真っ赤になったサンジが、すぐそばで眠るゾロを起こさないように、小さな小さな声で呟いた。


「なんで寝たのかって…

俺の傍で安心しちゃったんじゃねーのかよ…。

それくらい自分で気付きやがれこの鈍感マリモ…。

…あぁ、もう…。


……くそ愛してるぜ、このやろう…」




ーーーーー

…多分サンジくんはこの後ゾロちゃんの寝顔を堪能して、ちょっと抱きしめてみたりしちゃいましたよ;-)
本当は寝てるゾロちゃんにデコチューで終わりっていう予定だったんですが、私の中でサンジくんがヘタレすぎて出来ませんでした(笑)

ゾロちゃんにとってサンジくんは安眠枕!(*^^*)


[*前へ][次へ#]

10/26ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!