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命ーミコトー
11
「あの女が何か言ってたか…?あまり何度も会ったわけでもないし、それに必要最低限しか…。あっ。」
「何か思い出しましたか!?」
「そういえば…。」

新藤先生は考え込むように自分の頬に手を当てた。

「あの子達は何も知らないって。あの子達ってあなた達のことだったの?」
「何も知らないって…いったい何を知らないって言うんですか?」

私は新藤先生の腕にしがりついたが、新藤先生はそれを煩わしそうに眉間にしわを寄せながら振り払った。

「知らないわよ!大体なんであんな恐ろしい女のことを聞きたいの?」
「新藤先生。」

蓮見が落ち着いた声でそう投げかけると、新藤先生は罰の悪そうな顔をして視線を床へと落とした。

「裏切りよ…。」
「え…?」
「あの子達は裏切りを知らないって言ってたの!他にも何か言ってたかもしれないけれど、そんなの覚えていないわ。あの女の言うことなんて、意味も分からないし。」

「裏切り…?」

一体どういう意味だろうか。その裏切りとは過去に自分が経験したものなのか、それとも…。


「あっ…。」

今度は蓮見が何か思い出したように声を漏らした。


さすがに新藤先生の家ではということで、散々お邪魔しておきながら私達は退散した。

 そんな私達を新藤先生は怪訝そうな目で見つめていたが、蓮見の姿を見るたびにその瞳は揺らいでいた。やっぱりまだ好きなのだろうな。少し胸が痛みつつ、私は軽く新藤先生に一礼した。

蓮見ははなれに着くと、それは大きく長いため息をついた。

「何でこんな重要なことを忘れていたんだ?俺。」

その内容はまだ分からないが、私も藤家も多分同じことを考えた。

だって蓮見だから。

「で、先生、一体何を思い出したんですか?」
「ああ、瑠璃がこの間言っていたんだ。自分と花の契約を交わしたのは新藤先生だけじゃねえって。もう一人、俺たち仲間の中にいるって…。」
「どういうこと?瑠璃の協力者がいるってこと?私達の近くに?」

それに仲間といってもそんな大それた人数ではない。


 私。

 蓮見。

 藤家。

 光さん。

 陽さん。

 お父さん。


せいぜい詳しく知るのはこの6人ぐらいだ。

「俺達三人はありえないな。」

藤家もあごに手をあてて呟いた。

「榊のお父さんもないだろうし…光か陽さん?でも…」

私達三人とも黙り込んでしまった。

誰もそんな裏切りをするような人は見当もつかないのだ。

「瑠璃が私達を混乱させるためにそう言ったんじゃないの?」
「それも考えられなくないが…、いや、多分嘘はついていないと思う。」

私達は、仲間を疑わなくてはいけないのだろうか?



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あきゅろす。
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