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ぱんどら学園
君だけが理由!(VB+K)







ガラガラと音を立てて開かれる扉。
色違いの双眸が捉えるのは、気配と音に気付き振り返る、紅く鋭い眼差し。



「帽子屋さん…こんにちは」














(君だけが理由!)


















「…貴方には私を先生、
 と呼ぶことが出来ないんですカ?」



溜め息混じりに呟くのは、学園の保険医である、ザークシーズ=ブレイク。

机の上に漫画「エミリー番長」が開かれている事から、何時ものように暇を持て余していたようだった。



「だって先生なんて呼んだら、
 他の人と同じになっちゃうでしょ…?」



クスクスと笑いながら歩み寄るヴィンセント=ナイトレイは、学園の第2学年生徒。

「変態溝鼠」とブレイクに名付けられたが、全くもってその通りである。



「怪我でも体調不良でもないなら、
 さっさと家に帰りなさい。
 …というか帰れ」



帰れとヴィンスに促すのは、勿論下校時刻だから。
部活に入っていないヴィンスは、普通なら家に帰らなければならない。



「やだよ…そんなのつまらないもん」

「いいから帰りなさい」

「えー」


何時までも渋るヴィンスに若干怒りが込み上げるが、自分は教師。生徒に手を上げたりでもしたら、即クビになるに決まっている。

そんな思いを頭の中で繰り返しながら怒りに耐えていると、再び保健室に扉を引く音が響いた。



「おいザクス、今日の夕飯は―…」

「あ、白騎士さん、こんにち――」

「――誰だそいつ」



ヴィンスの言葉を遮ったのは、ヴィンスと同じ学年クラスのケビン=レグナード。
どうやらブレイクに夕飯のメニューを聞きに、保健室に来たようだった。



「誰だなんて…酷いね。
 僕ら同じクラスだっていうのに」

「私はザクス以外の生物は記憶に無いんだ。 悪いな変態溝鼠」


「うわぁ…僕ガラスのハートだから、
 傷付きやすいんだよ…?」

「鼠にも心なんてのが在ったのか。
 新しい生態発見だな溝鼠」



ヴィンスに向けて態と「うざい」オーラを出しまくっているケビン。

普通の人ならキレるケビンの言葉を、ヴィンスはガラスのハート等と言いつつ楽しんでいる様だ。



「…二人共、
 さっさと帰ってくれません?」



呆れたようにブレイクが言うが二人は帰る気なんて満更無いようで、寧ろ現れた敵(?)を相手にすることで忙しいらしい。



「大体君、帽子屋さんに何の用事…?」

「唯、夕飯のメニューを聞きに来ただけだ。
 貴様には関係ないだろう」



"家族の壁"という雰囲気を醸し出しながらケビンが呟くと、ヴィンスは顎に人差し指を立てて考える。



「お夕飯かぁ…。じゃあ僕、
 帽子屋さんでも食べようかな」

「死んでください変態」


「…ざ…ザクスを、食べ…る…ッ…!?」

「ハイ、そこ食いつかなくていいカラ」



ヴィンスの一言に顔を少し赤らめながら食いつくケビン。
ブレイクはそんな二人の会話に、もう怒りを通り越して呆れている。



「……ケビン、今日の夕飯は任せます。
 ヴィンセント君は早く帰りなサイ」

「…あぁ。
 なるべく早く帰って来いよ」

「分かりました。
 …だから帰って下さいってヴィンセント君」

「嫌だよ、まだ遊んでないもん」

「巣に帰れ変態溝鼠」



まだ帰ろうとしないヴィンスに、急かすように帰れと連呼するブレイク。



「…じゃあ買い物もあるから、
 先帰るぞ、ザクス」

「えぇ、分かりました」

「あ、白騎士さん帰るの?
 さようなら、また明日ね」

「貴様私のザクスに手出したら、
 生きては居られないと思えよ、溝鼠」

「何時から貴方のものになったんですか」



笑顔で手を振るヴィンスに対し、ケビンは殺気を向けながら、静かに保健室を後にした。



「わー、怖いなぁ…白騎士さん」



言葉に反して顔は笑顔のヴィンセント。
そして笑顔の儘振り返ると、ブレイクは小さな溜め息を一つ落とす。



「…さて、君も帰りなさい。
 暗くなると困るでしょう?」

「大丈夫だよ。
 それより帽子屋さんが心配だなぁ…」

「…………は? 何故です?」



ヴィンスの言葉に小さく首を傾げると、ヴィンスはブレイクを壁際まで追い詰める。



「こんなに可愛い帽子屋さんが
 夜道を歩いていたりしたら、
 誰でも襲いたくなっちゃうでしょ?」



ニコリと笑みを浮かべるヴィンセント。



「えぇ、貴方に襲われないか
 凄く心配ですネ」

「うん、そうだよね」

「…そこ否定しないんですカ」

「……しないよ?
 だって今からするんだもの」



今現在やっと追い詰められた意味を理解する。あぁ、変態溝鼠はこれだから。



「…冗談は顔だけにして下さい」

「僕が冗談を言うと思う?」



まぁ確かにヴィンセントの言葉は、冗談でも本気でも最悪な事ばかりなのは、ブレイクも解っている。



「教師に生徒が手出すなんて、
 普通絶対あり得ませんからネ」

「今更?もう何回手出してると―…」

「うるさい黙れ溝鼠」



ヴィンスの言葉を言葉で遮断する。
だがヴィンスは退こうとはせず、


「あははー、
 やっぱり抵抗してくれた方が、
 そそるよね?帽子屋さん」

「知りません死になさい」

「じゃ、始めよっか?」

「嫌だと言ってるで、しょ…ッ…!?」



大好きな保健室の帽子屋さん。

白騎士さんが
「手出したら許さない」
だとか言ってたけど、

もう遅いよ?



「ね?帽子屋さん」



こんな可愛い先生、
誰にもあーげない。



「大好きだよ?」

















(Only you reason)


好きだから
理由は唯一つだけ。


















+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+

あとがき

ギャグ系甘でいきました(・∀・)

ブレイク愛されとか好きです。
取り合いとかも好きです。

生徒×教師とか
禁断の(自主規制)です´`

 

唯それが
書きたかっただけwwww




 


あきゅろす。
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