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ぱんどら学園
出逢いはいつも唐突に(O+K+B)












何時もと変わらない騒がしい学園の朝。
遅刻しそうな生徒の足音や、クラスで語り合う生徒達の声が校舎に響く。

騒がしいが明るく、楽しそうな雰囲気が漂っている。


そんな平凡なぱんどら学園に、一人の転入生が現れた。


彼の名は――ケビン=レグナード。


長く透き通った様な銀髪を横で一つに纏めた、真っ白な男だった。
















(出逢いはいつも唐突に)
















白を基調とされた部屋、保健室に、一人の学園生徒が来ていた。

彼はオズ=ベザリウス。ぱんどら学園一の金持ちお坊っちゃまであり、学園一の腹黒少年でもある。



「ねぇ、先生知ってる?」



オズは保健室が仕事場の変人教師、ザークシーズ=ブレイクに、無邪気な笑みを浮かべながら問う。



「…何をですか?」

「転入生だよ、転入生」

「…転入生位普通でしょうが」



別に驚く事も無く、教員机で漫画を広げて読みながら答えるブレイク。

そんな相手の反応を気にせず、オズは保健室の椅子でクルクル回りながら話す。



「何かね、その転入生
 ブレイク先生に似てるんだよ、凄く」

「………は?私に?」



自分に関係するということでくるっと振り向くと、オズを見据えて答えを求める。

クルクル回っていたのを止めたオズは、見据えられると頷きながら話の続きを口にする。



「先生と同じ銀髪で、」

「へぇ…、銀髪ですか」

「先生と同じ紅い瞳で、」

「ふーん、紅い瞳ねぇ」


「――名前はケビン=レグナードだって」

「はいはい―…って、…は?ケビン?」



次々と転入生の特徴を述べていたオズは、興味無さ気に答えていたブレイクが急に食いついて来たことに、不思議そうに目をぱちくりとさせると話を再開する。



「うん、俺のクラスなんだ。
 クールそうな人だったなぁ…」



オズが思い出しながら呟いていると、開いている扉の奥に結った銀髪を揺らしながらケビンが通るのが見えた。



「あ、噂をすれば、だね。
 …おーい、転入生さーん」



それを見たオズは、椅子から立ち上がると通った彼を手を振りながら呼ぶ。

名前を知っているのに、流石にその呼び方はどうかとブレイクは思ったが、声に気付いたケビンは振り返り保健室を覗き込む。



「…呼んだか…?
 ………あ、ザクス…っ…!?」

「…………げ」



驚きを含めながら輝いた瞳でケビンに名前を呼ばれると、ブレイクは嫌そうな表情で相手から目を逸らす。

そんな二人の様子を、オズは何だろう、と興味を示すようにじっと見つめている。



「…何を、してるんです?貴方」

「何をって……息をしてr――」

「小学校低学年かお前」



ケビンの言葉を遮る様に素早くツッコめば、呆れたように溜め息を吐き脚と腕を組み、偉そうな態度で座り直す。



「…で、何で貴方が此処に居るんですか」

「………お前が心配だったから」



ケビンが答えると、予想外の答えにブレイクは首を傾げながら、は?と呟く。



「………それだけ?」

「……あぁ、それだけ」

「………………」



それだけだと断定するケビンに、何も言わなくなるブレイク。

そんな二人を交互に見比べるオズは、恐る恐る口を開いた。



「あのー…、妙に仲良さそうだけどさ、
 二人って…どういう関係なの?」

「他人です。こんな人知りませ――」

「正真正銘の双子」



オズの問いに即答しようとしたブレイクは、言葉を言い終える前にケビンに答えられた。

その言葉を聞いたオズは、驚きの声をもらしながらすくっと立ち上がる。



「嘘、双子!?
 生徒と教師なのに、双子なの!?」

「因みに私は兄だ」

「…あんまりベラベラ喋ると、
 貴方の人生に幕を下ろしますヨ?」



次々と暴露していくケビンに対し、顔はニコリとしてはいるが、オーラは明らかに怒りを表すような色を引き出しているブレイク。



「…何故そんなに怒っているんだ?」

「当たり前でしょう。
 大体貴方、学校は?」

「……学校だろ、此処」

「そうじゃなくて
 大学ですよ、大 学!!」



どうやらケーキ屋で働いていたケビンは、弟に憧れ自分も学校の教師になりたいと言い、バイトを続けながら大学に通う為勉強していたらしい。

そんな彼が何故此処にいるのかと、ブレイクは心配でもあり意味不明でもあるらしい。


「ああ…、駄目だった」

「…は?駄目だった、ですって?」



「駄目」という単語に、ブレイクは怪訝そうに眉根を寄せれば、何故なのかと理由を問う。



「……面接で…頭と、常識が
 足りなさすぎって…言われた」

「「………………は?」」



それを聞いて言葉を無くすオズとブレイク。
面接の時を思いだしてへこんでいるのか、ケビンは顔を俯かせている。

そんな複雑な沈黙を質問で最初に破ったのは、オズ。



「…でもさ、何で高校生になったの?」

「……高校行ってなかったから」

「へぇー、中卒なんだ。
 ブレイク先生も?」

「…えぇ、そうですヨ」



頷いて椅子を机の方へ向けると、ブレイクは関係無いかの様に漫画を読み始める。

ケビンはそんな様子を見て、ブレイクを不機嫌にしてしまったのかと考えたらしく、机の方へ近寄ると相手の顔を覗き込んだ。



「……何ですか、非常識人間」

「…怒ってる、のか?」

「別に?」



相手の態度と口調から明らかに怒っているな、と認識すれば、これ以上気を逆撫でしない様に控えめに話す。



「ごめん…、
 そんなに怒るとは…思わなかった」

「先生…怒らないであげて?」



ぺこりと小さく頭を下げて謝ると、ブレイクは不満そうな表情を浮かべたままだが、きちんとケビンの方へと椅子を向けた。



「………生活は?」

「あ?えと…
 まぁ一応それなりに……」



急に問われ慌てながら答えると、ブレイクはくるっと椅子を回しまた顔を逸らした。

ケビンはそんなブレイクの様子を分かりやすい程不安そうに見つめている。



「…ブレイク先生……?」

「……ザクス?やっぱり怒って――」

「…家に来れば良いじゃないですか」

「………え?
 ……家に…来る?」



相手の言葉を聞き首を傾げながら、ブレイクの発した言葉の意味を確認するように繰り返す。



「…それ、
 一緒に暮らすって事…なのか?」

「あ、言っておきますガ」



ケビンの問いを返さずに呟くと、ブレイクはちらりと振り返り顔だけ向ける。



「バイトで生活も何かと大変でしょうし、
 ……一応身内なので
 "仕方なく"気遣ってるんですカラ」

「…ざ…ザクス…っ……」

「あー、もう涙目にならないで下さい。
 面倒くさいんで」



感動で涙目なケビンにヒラヒラと手を振ると、また漫画を読み始めた。



「…ほら、そろそろ授業だから
 教室に戻りなサイ」

「えー、
 もうちょっとこの会話聞きたいなー」

「この話は黙ってなさいオズ君」



二人の会話が余程面白かったのか、オズはにこにこと楽しそうに微笑んでいる。



「まぁ…大好きな先生の
 頼みなら、仕方ないか」

「……はい?」

「ううんっ、言わないから安心して」

「言わないのは当然です」



オズの言葉に終始疑問を持つも、興味がが無いのか言葉の意味を問わなかった。

ふと、授業の予鈴が鳴る。



「じゃ、先生またね」

「後でな、ザクス」

「はいはい、
 さっさと勉強しに行きなさいよ」



その音を聞き保健室から出る生徒二人に向かい、軽く手を振るブレイク。


そして二人が出ていった後、部屋には穏やかな笑みを浮かべた保険医が居た。














(an encounter)

出逢った時の感情は
逢う前よりも素敵なもの。



















End







+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+

あとがき

ツンツンデレ(デレ)ブレイク先生。
gdgd文極まりないw





 


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