ぱんどら薔薇(裏)
甘色 満ちて(VB)
―コンコン、
パンドラに在る一室に、
扉を叩く硬い音が響く。
「いいよ、入って」
(甘色満ちて)
言葉と共に開かれた扉を見やり、入ってきたその相手を待っていたかの様に微笑を浮かべれば、自分の元へと来るように目線で促す。
「…何の用ですカ」
レインズワース公爵家に仕える使用人のザークシーズ=ブレイクは、自分を呼んだ相手に多少警戒しながら近づき、呼んだ理由を問う。
「そんな…怖い顔しないで?
唯ちょっと遊びたいだけなんだよ…?」
「…生憎、私は貴方と遊ぶ程、
暇では無いので」
ヴィンセントの微笑を明らかに何か企んでいると目論見たブレイクは、部屋から出ようと扉へと進む。
が、いきなり手を掴まれると、引き寄せ強く抱きしめられた。
ブレイクの肩に乗っていたエミリーと名付けられた人形が、ぽとりと床に落ちる。
「待ってよ…?」
「ッ…離して下さい」
相手の腕から逃れようと身を捩らせてもがくが、させまいと強く抱き締められる。
「遊ぼ…?帽子屋さん…」
「嫌だって言ってるでしょう…
ッ…この溝鼠ッ…!!」
悪態を吐きながら必死に抵抗していると、ヴィンスが片腕を離して自分の洋服のポケットを探り、何かを取り出した。
何を取り出したのかを確認したいのだが、相手は後ろに居るので良く見えず、確認する事が出来ない。
「ふふ…、
そんなに怖がらなくても、
楽しい事だから大丈夫だよ…?」
「楽しい、こ……ふ、んん…っ!!?」
その言葉を疑問系で返そうとした瞬間、身体を相手の方に向けられ、唇で言葉を塞がれる。
見開かれる、罪の色に染まった、紅。
薄く開いている相手の両瞼は、
ワインレッドと、金。
途端、口内にヴィンセントの口から、
何かが流れ込んで来る。
それはとても甘いけれど、
お菓子の様な優しい甘さではない。
「…ッは……ん、ふぅっ…」
「ん……」
飲み込むまいと必死で抵抗するが、相手の舌が自分の舌に絡み、こくん、と音をたて飲み込んでしまった。
ブレイクが液体を飲み込んだのを確認すると、息も続かなくなってきたのかゆっくりと唇を離す。
二人の間に一本の銀色の糸が伸び、ブレイクの口の端からは、飲みきれなかった液体がトロリと垂れている。
「ッ…何、飲ませたんですかっ…!!」
「何だと思う…?」
クスクスと笑うその右手には、
小さなアンティークチックなガラスの小瓶。
中には、深い紅色の液体が3分の1程。
「…嫌な予感がするんですけど……」
「…どんな予感…?」
ヴィンセントは微笑を浮かべると、ブレイクの耳元に顔を近づけて小さく呟く。
すると、ブレイクは小さく声をあげて、ヴィンセントから離れた。
「ふふ…どうしたの?」
「ッ…触る、なっ…!!」
ヴィンセントは、離れたブレイクに近づいて触れようとした手をぱしんと払われる。
運動をした訳でもないのに、ブレイクは顔を赤らめて息を少し荒げている。
そうなる事を解っていたかの様に、ヴィンセントは薄ら笑いを浮かべていた。
「…悪趣味な人ですね、ヴィンセント…様」
「なんのこと…?」
身体に起きた症状に漸く液体の正体を理解したのか、クスクス笑っているヴィンセントを潤んだ瞳で睨み付ける。
が、増してきた薬の効果に、ブレイクは苦痛そうに顔を歪めた。
「…ねぇ、帽子屋さん?
楽しい事しよう、って言ったのさ…
ちゃんと覚えてる…?」
「なッ……離してくださ……っ」
ブレイクに再度近付いたヴィンセントが、睨み付けているブレイクを抱き抱える。
抵抗はするものの、薬の効果で思うように身体がついていけない。
「ね…だから、さ?
大人しくしてね………」
薄ら笑いでブレイクに呟くと、ヴィンセントはゆっくりと自室の部屋のベッドに足を進める。
そして、ベッドにブレイクを下ろすと、徐にブレイクの手を上にあげ、鎖でベッドの柱に繋いだ。
「なっ…!?
…今すぐ外しなさい、殺しますよ」
「ふふ…やだなぁ。
そんな状態で、
どうやって僕を殺すのかな…?」
ヴィンスの馬鹿にするような言い方と笑みにイラっと来るが、薬のせいでそれどころではない。
すると、ヴィンセントもベッドにゆっくりと上がれば、ブレイクの着ているパンドラの下の制服を、がさがさと脱がし始めた。
その状況を阻止せねば、と抵抗するが、足は抑えつけられ手は柱にくくられている。
「ッ…止め…っ触るな溝鼠!!」
「大丈夫だよ…?
そんなに怖がらなくても、ね……」
下の服と下着を脱がし終えれば、近くにある小物タンスから、何やらコードに繋がっている球体を取り出した。
其れをブレイクの後孔へあてがえば、卑猥な水音と共に挿入する。
「ッ…ひ!? ん…やぁっ…!!」
「体は正直、みたいだね……?」
急な刺激にブレイクの身体がびくんと震え、甘い声を漏らしてしまう。
クスクスと笑うその表情が、ブレイクの羞恥を更に煽る。
「どう……?
スイッチ、入れてみよっか」
ブレイクのそこに入るソレに繋がれたコードの先には、小さな箱形のボタン。
ヴィンセントはそのボタンに既に手をかけて、微笑を浮かべている。
「ッ…駄目…止めて下さいっ…!!」
ブレイクの言葉にヴィンスは首を傾げると、
「…じゃあ、何?
このまま放置しちゃっていいの…?」
クスッと笑いながら意地悪そうに呟く。
忌々しい相手に良いようにされるのは嫌だが、徐々に高まってくる熱からは逃れることは出来ない。
「…も…最悪です…っ」
「大丈夫、これからよくなるから…ね?」
ニコリと微笑を浮かべると、持っていたスイッチをカチッという効果音と共に、ゆっくりと押した。
(Sweet color)
貴方の全てが
甘い色に満たされるまで。
End
+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+
あとがき
なんだこれ。
最後わけわかめだわ。
…まぁいっか´`←
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