・14/04/12 自警団詰め所 encounter:ラクリモーサ/ギルバート/アイザック/コール/ジェラルダイン/ベリア/レミ/アーク
一つの区切りだ。長かったのか、短かったのかは、分からないけれど。初めに会ったのは、闘技場でだったか。セシリアと初めて会って手合わせしたたあの時に、声を掛けられたんだったっけ。
同類。それは他からの視点として。あちら側からは、捧げるべき贄として。
血で汚れすぎていた。それでもただ自らの神だけは信じていて、神を見る角度が変わったような、そんな。
そんな、些細な。
会議の場は摂氏3度、グインさん、やりすぎ。なんとか7度になった。夏になら歓迎するんだけれどなぁ。ちょっと寒い方が頭が冴える、一理あるとは思うけど。けど。エルフさんにはキツそうにみえたなー。
見解は、報告の通り。宗教的理由による殺人行為。神の元へ送る、生きている者は、神からの罰により生かされている。飛び級、死がその過程を省き、神に愛される。
あの時に目的が私に無ければ、その信仰に縋れたのかもしれないな。あの時私は私自身を殺そうとしていた。目的を全て終えた後に。親友を殺した罪を、仲間を殺した罪を刻み付ける為に、セシリアへ頼み込んだ事ではあったけれど。今では、また別だ。それは何れの話。
信念が変わるその一点、絶対とする信条が崩れた時、どう考えるか。新たな地点に立った時に、どう思えるか。
刷り込みを打ち砕いたのは、単純な愛であって。向き合いもしなかったそれは、信念という意地でもあったのかもしれない。私にも幾らでも覚えがある。こうじゃなきゃならない、こうしなきゃならない。それが間違いだと気付ける機会があったのは、この街だったから、なんてのは。偶然かな。
だとしても。それが間違いかどうかは法が決める。この街に居るからこそ、この街のルールに当て嵌めて考えられる。
殺人が正当化される事柄は、あまり無い。地域として、身内を神の生贄に捧げる風習があるとは何処かで聞いた。それも、法の一つなんだろうけれど。ただ、此処では正当化されない。ただそれだけで、間違っているかどうかは、私には分からない。本当に神の元へと行けるのなら。
解釈の歪み、か。それが真実ではないと知れた判断基準は、恐らく聞き逃した。切っ掛け、宗教観を改めた、その一因。
互いに、囚人として居た時期があった。その前には「貴女の信仰は間違っている」とも。解釈は人の数だけある。陳腐だとも、ラクリモーサには笑われた。それでも一生懸命、私は考えた。自分で、人の数だけある、なんて当て嵌められもしない答えを導き出しながらも、それでも考えた。
愛、なんてさ。そんな主軸であっても良いと思えたんだ。目に見える形なんかじゃなくても、この街には。そんな出会いが、沢山あった筈なんだ。私も、ラクリモーサも証人になれるくらいに。
愛に物証は無い。神は見えない。信者の説教に答えはなく、それらは神の言葉をどう受け止めたか、という解釈でしかない。答えは形を持つ事は無く、手の中には無い。
愛。
あぁ、あの時は。
捧げたくない愛を知ってしまった、そう、言ったんだった。ラクリモーサは。
本当に、長かったのか、短かったのかは、分からないけれど。
私の生きた時間に比べれば、途方も無い時間を、さ迷い続けて。漸く見付けたんだ。
愛は厄介だ、なんて言っていたけれど。悪くない厄介だろう。
ここは、この街はそんな愛で溢れている筈だから。
減刑嘆願書には、目を通しているよ。前の日から、食堂のおばちゃんと頑張っている姿も見ている。
美味しいカレーだった。
とっても。
赦しは無いんだ。だけれど受け取れる愛はある。
苦しみながら噛み締める愛だって、あるんだ。
生きなきゃならない。
生きて、償いきれない償いをただ積み重ねて、そして愛を受け止めればいい。
生きてこそ。
今日は、ゆっくり寝よう。
夏に、愛筆隊へ一時申請しよう。
サンドラ隊長に怒られるかな。
明日からは、また、生きて。
生き続けて。
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