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・14/03/08 Showroom encounter:騎士風の男/モラ/ヨハネ/ネージュ/レイン/リウ/ギガトール/アズライト/セシリア/ジュリエッタ/ベノムジョー

ネージュさんは帰ってきた。後の調査で判明する事だけれど、あのShowroomは、ネージュさんの居た部屋にとても近い場所に、あったようだ。

事件は漸く一つ、解決した。ま、一つ、海賊の件の内の、だけれど。喜ばしい事には変わらない。変わらないんだけれど。それでも。その経緯を私は知るに至らない。あの通信が途絶えてから、彼女の様子を伺う事は出来なかったのだから。

勝った、のだろう。

きっと、勝ったんだ。私は、その可能性を知りはしなかったんだ。囚われのお姫様。私の認識は、それ以上に至りはしなかった。だからこそ、強くあるべきだと。

どうして、誰も。誰もあの時声を掛けなかったか。常識的に見て、おかしいのは分かっていた。あの映像を映す装置に仕組みがあり、それを破壊する事で止められる。そのまま戦い、負ければ精神が削られ続ける。そこで、私達を呼ぶ事が、何よりも先決だと。二択、呼んで壊すか、呼ばずに壊すか。

あの娘一人の力でなど、と。そう私は思っていたんだ。過保護なまでに、私は自分を盾に変えようとも。けれど、違う。あの娘は、ネージュさんは最後まで、私達に危害が加わる事を恐れた。それは、信念的な恐れ。自分の為に誰かを傷付ける事を、絶対に行わない、という。それこそ私の、市民を守る為の剣としての相反。みんなは、ネージュさんに守られたと言っても過言じゃなかった。呼ぶ事によるリスクを、殺したんだ。

あの時誰も声を掛けなかったのは。二つの理由だろう。それは、ネージュさんのそういう、誰にも迷惑を掛けたくないという意思を、知っていたか。そしてもう一つは、彼女は勝つ、という事を真に、信じていたという事だ。

それが全てだ。


神父さまには、最後に言ったけど。それはとても、自己犠牲的だと。自分の事は自分が。だけれど、囚われているのは皆。それはネージュさんにも、言った言葉だった。

甘かったのは、私の方か。


報告書はたっくさん。山積みだ。

レインさんからの評価もある、別にネージュさんを助ける事にその理由が為に必死になったではないんだけど。これは自警団に迷惑は掛けれないから、そういう点。
それと、ベノムジョーの件もか。リスクはすぐ真上にあった。馬鹿で助かった、のではあるけれど。あのままセシリアと私が向こうへ向かっていたら、きっと二重の意味で危険に晒されていたんだろう。やっぱり、ネージュさんに守られた、んだろうけど。そういう点として見ても。

報告書の半分を、さり気なくアズライトさんのデスクに移しておきたい。そう言えばユッカさんの言葉を、伝え忘れていた。その内、か。

ジュリエッタさんに、セシリア、ヨハネくん。この街の大切な要素、それがネージュさんだった。やっぱり私はまだ、この街を深くは知り得ない。その繋がりの意味と重さ、私が繋ぎ留められたような意味合いが、そこにはあるんだろうけれど。

ああ、気絶した子は大丈夫だったっけ。託した瞬間に気絶しちゃったから、心配はない訳では無いけど。

リウさんは神父さまと。リウさんは前もそう、あの場所で会って。その前は倉庫街で、私の銃をあげたんだっけ。まだ慣れないな、今のものは。
誰もが持ち得てる可能性、何処にでも居る少女。そっか、想われてる強さ。一人では、居れはしなかった。

強かったんだ。


あぁ、少しだけ。少しだけ分かったのかもしれない。この前、詰め所で神父さまと話した事。指向性を持つ、信念。

まだまだだな。私は。ただ仕事をこなすだけじゃ、足りないんだ。


それこそ、おかしな話だろうけど。

誰も殺さない、殺させない。

この剣で、何が出来るか。


課題はまだ大きく残る。だが、今はネージュさんの帰還を、喜ぼう。



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