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・11/04/27 商店街 encounter:メーデル/セシリア/ジャック
痛い。どうやら傷は相当らしい。特に右腕は。痛むが、書く事が多い。血が滲む。この文を書いている力が無駄な気もしないではない。

彼が漸く撃ってきた。これ程楽しい事はない。彼もだ、彼も候補だ。まだ殺せないだろう、それでも何れ。
古来から武器は何かを守る為に作られた。その言葉を一心に信じるジャックが可愛いよ。あの時説いた言葉は覚えているのかな。例え殺めたとしても、その深い根底は何かを守る為だと。人を殺す銃は、人を殺して何を守る為?ジャックなら分かるんじゃないかな。

結論から言えば、依頼は完了した。花は見れなかったが、街で話を聞いた所死んだらしい。後で、あの色を消してくれる酒場で報酬を貰うとする。これで何とかバイトともオサラバ出来るかもしれないけれど。やはり生活資金で削られるからバイトは続けるべきか。まだあの貸家に住むべきか、微妙な所だ。それでもあの二人が自警団に突き出さず自ら解決しようとしてくれるなら楽なのだが。元より、証拠が無いから虚言としか取られないだろうけれど。あ、尻尾が。

狙撃は苦労した。無駄弾を一発使ってしまった。師が見ていたら怒られていたでは済まなかっただろう。まぁ、天国で手出し出来るものならやってみて、だけれど。メーデルさんには悪い思いをさせちゃったかな。私がやった、と気付かれていないだけまだ良いのかも知れないけれど。知ったら引くでは済まないだろうから。

それにしても、セシリア。甘いよ。思った時に殺さなければ犠牲は増える。命に代えは無いよ、ゲームじゃあるまいし。私もゲーム気分では殺っていない。今回は仕事でではあったが、いつもは儀式、みたいなものだろうけれど。
生きていれば良いな。そうすれば今度こそアカマガツを殺しに来るだろう。きっと。そうでなければ撃った意味が無い。あそこで直ぐ様逃げずに殺そうとした意味は無い。

目撃者を抹消する意味は、今は無いんだから。私達はまだ友達だろう?セシリア。

バケモノを飼い慣らす事には慣れているつもりだったけれど、彼には放し飼いに見えたかな。やっぱり分かってないや。
そう言えばだけれど早撃ちって、あのお互いに背を向けて三歩歩いて振り向いて撃つ奴、だっけ。師とやったら全敗して体毛の下がアザだらけになって、振り向いた後に狙い過ぎだと笑われた事しかない。当たってもまだ平気な軟質のゴム弾だとしても至近距離で何発も撃たれたら流石に泣き出すよ。相当泣いて、泣き止まないからご機嫌取りに無理矢理美味いもの食わされて寝かし付けられて。良い思い出なのか悪い思い出なのか分からないけれど。今度練習した方が良いのかな。でも、それで左胸を外すのも撃たれるのも、私の趣味じゃない。

書いている内に右腕は慣れてきた。けれど、姿勢を少し崩せば激痛を伴う。左腕もだ。セシリア、やってくれたな。けれどこの左腕は、私に対してではない。アカマガツに対しての、だ。そう考えると嬉しい。今度はナイフではなくてお菓子でもあげようか。生きてたらだけど。ジャック、助けてあけただろうな。お人好しだし慣れてそうだし。

でもやっぱり、生きてたら良いな。

アカマガツとしてではなく、思う。


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