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考えた。



「...そんなにがっつかなくても...」

「!おいひーんだね!!おねーさん料理上手なんだね!!」

「そんなことないよ」


敬語はいい
と言われたので、今は普通に喋っているが、自己紹介なんてそんなものはまだ済ませていない。
どうやら、かなりお腹がすいていたらしい。


5皿くらいあった料理も、もう既に姿を消している。


「ごちそーさまでした」

「お粗末さまでした」

「ううん!すごく美味しかったんだよ!!」

「...ありがとう」

ちょっと照れる。

「あたし、匂宮理澄!おねーさんはなんていうの?」

「萌...。木村萌です」

「萌ちゃんかー...可愛い名前だね!」

「理澄ちゃんも大分可愛いよ?」

「そう?ありがとう!!萌ちゃん、大好き!!!」

「!?」


いきなり塊が飛んできたと思ったら、そのままのしかかられた。
なぜこの状況になったのか、考えるべきだと思ったがどうでも良くなってしまった。

とても、温かかったから。
この体温を感じられることが、すごく幸せで
それ以上でも以下でもなかった。


ただ、ひとつ
気になることがあった。


「...理澄ちゃん。なんで行き倒れてたの?」

「...あー...あのね。お腹すいちゃって...」


ものすごく申し訳なさそうに言うものだから、
こっちとしてもなんだか申し訳ないような気がして、
聞くのがはばかられた。


要するに、空腹に耐え切れなかったようだ。
集中すると、何も食べなくなるという珍しいタイプらしい。



「そんなに集中してた、ってことは大切なことなの?」

「そうなんだね!!生き様に集中するのは当たり前なんだね!!」

「生き様?」

「そう!あたし、名探偵なの!名探偵は、仕事じゃなくて、生き様なんだね!!」

「へぇ...理澄ちゃん、すごいんだね」

「そんなことないよ!萌ちゃんの料理の方がすごいよ!」



どうやら、お気に召されたらしい。



「...ところで、理澄ちゃん」

「なに?」

「これから、どうするの?」

「あ...」


まさか...


「...決めてないの?」

「うん...」



まずそれを考えることが先決だと思った。





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