学パロ、リンレン 双子設定。R15くらい? 「ほんっと、あんたらって頭良いよねー」 お弁当も食べ終わり各々と一息をついている昼休みの教室内。リンと机を挟んで向かいに座る友人は、紙パックのジュースをストローで吸いながらそんなことを言う。 「え?どうしたの?急に」 それは何の脈略もなしに発言されたので、どういう意図なのかリンにはさっぱり理解ができない。 「今日、職員室の横に貼りだされたの見てないの?」 「うん」 何を貼りだされていたのか、そしてそれが先程の言葉とどんな関係があるのか。リンは未だに理解が出来ず、その主旨を伝える。 すると友人は呆れた顔をしながら、この前の模試の結果が貼りだされていることを教えた。 「朝のホームルームで言ってたの聞いてなかったの?」 「…あー。メールしてて何も聞いてなかった」 リンは今朝のホームルームの状況を思い出す。確か、廊下側の一番後ろの隅の席でずっと下を向いて携帯電話を弄っていたはずだ。メールに熱心で担任の声など聞こえるはずもない。 そう伝えると相手は更に呆れた顔になる。 「あんたら姉弟、揃って1位だったよ」 「えっ、ホント?」 友人は無言で頷くと、なんでアンタみたいな一見抜けたような子が1位なのかな〜、と悪態をついた。 「ちょっとぉ!その言い方はヒドいよぉ〜!」 リンは口を尖らせながら文句を言う。 けれども友人はまともに取り合ってはくれない。 「お」 間の抜けた言葉と同時に、相手の視線がリンよりも遠くに移される。何かと思い振り向くとその先にはリンと双子の弟のレンがいた。 「噂をすれば、ってやつね」 「我が弟ながら、なんとタイミングの悪い」 二人はレンをじっと見ていると、向こうもこちらの存在に気づいたらしくリンと目が合う。 目が合ったからには完全無視をするわけにもいかず、手をひらひらと振るとレンは二人のいる机まで近づいてきた。 「どうしたの?」 「リン、今日辞書持ってる?」 「持ってるけど…。忘れたの?」 「違うやい!電池が切れちゃったの!」 「購買行けばいいじゃん」 「今見てきたらめっちゃ混んでるの!」 「ふーん。ま、いいけど」 ちょっと待ってて、と言うと自分の机まで小走りでむかい、横にかけてある鞄の中に手をいれゴソゴソと目当てのものを探す。あった、と呟くとオレンジのケースに入った電子辞書を手にレンの元へ戻った。 「はい」 「サンキュー」 レンは辞書を受け取ると、また家で返すな、と受け取った方の手を軽く上げ教室の方へ駆けて行った。 教室を後にする弟の背中を見送ると、元の位置に座り直す。 「あー!もうなんでー?」 「今度はどうしたの?」 また脈略のない発言に、リンは目をぱちぱちと瞬きさせながら尋ねる。 「なんであんたら姉弟揃って顔も頭もいいの?わけわかんない!」 「…うーん。いいかどうかは分からないけど、双子だから似てるんじゃないかなぁー?」 リンは首を傾げ答えると、「ずるい!どっちか一方にしなさい!そしてどっちか一個を私に分けるの!」と、友人は無茶苦茶な要望を口にする。 白く大きなリボンを揺らしながら 「それに私、そんなに頭よくないよ」 と続けると、 「今、あんたは学年中の人全員を敵に回した!よくもまあ今回のテストの結果でそんなこと言えますねー。リンさんは」 と、言われた。 ちょっと怒りの含んだ友人の発言に危機感を覚え、リンは「今回の勉強は出来たかもしれないけど…、ほら、私基本こんなんだし」と答えると、「それもそっか。あんたアホだもんね」と納得されてしまった。 これもなんだかヒドい気もするが、これ以上この話題に触れるとまた反感されてしまいそうなので、リンは大人しく同意をした。 「鏡音さん、席、いいかな?」 私が座ってる椅子の持ち主に声をかけられる。時計をみるとそろそろ4限の始まる時間になっていた。 「あ、ごめんね!今片付けるから、ちょっとだけ待っててくれない?」 「ううん、いいよ。ありがとう」 急いで友人の机の上に広げられた空の弁当箱をまとめ、バンダナで包む。すっと立ち上がると席の持ち主にお礼を言い、友人にも「戻るね」と告げるた。 リンが自分の机に着席すると丁度、4限開始のチャイムの音がした。 * * * コンコン。 控え目なノックの音が部屋に響く。 返事をするとドアが開きレンが部屋に入ってきた。 「リン、これ。ありがと」 オレンジ色のカバーをされた、長方形のものを渡される。昼間に貸した電子辞書だ。 「ああ、そういえば」 リンは辞書を受け取ると鞄の中にしまった。 「そういえば、模試の結果見た?」 レンが尋ねる。 「ううん。見てない。友達に結果聞いたよ。1位おめでとう」 そういうと「お前もだろ」と言って笑われた。 用事を済ませてもレンは自分の部屋に戻る気は更々ないようで、リンの近くにあるベッドに腰をかけた。 ちょいちょい、と手招きをされたので近づくと、ぐるっと身体を反転させられ、強制的にレンの足の間に座らされる。 首に腕を巻かれ抱きつかれる形となったが、リンは抵抗することもなく自然に手を彼の腕へ添える。 「今日ね、友達にね、頭いいって言われたの」 なんとなく、今日の昼間の会話が思い浮かんだので話題に出してみる。するとレンは「うん」と言って、それからは何も発さない。リンはそれを続けろ、という意味と解釈し、次に進む。 「それでね、頭良くないよ、って言ったの」 「それから?」 「そしたら怒られた」 そう淡々と話を続けると「当たり前だろ」と言って笑われた。 「俺たちが言っても正直、説得力に欠けるだろうな」 「勉強だけは、なんでか出来るもんね」 「…うん」 リンは顔だけを後ろに向け、レンを見上げる。 じっ、と目を見つめると彼も見つめ返してくる。 視線を外さないまま、顔の距離を縮めていくと、ごく自然に唇と唇が重なった。 目を瞑り、互いに相手を貪りあう。 リンは身を捩じらせレンに腕を解くよう促すと、簡単に解放される。 自由になった身体を反転させ、キスをしたままレンに前体重をかけるとベッドのスプリングがきし、と悲鳴をあげる。そのまま布団に傾れ込むと反動で二人の身体が一瞬だけ浮遊した。 …一体どれだけの時間キスをしていただろう。 唇を離すと唾液が糸を引く。 口の中はどちらの唾液か判別がつかなくなっていた。 「…っ」 レンの大きな手が服の中に侵入してくる。 つい最近まで、まるで鏡で自分を見ているかのようにそっくりだったにも関わらず、いつの間にかレンは男の子に、リンは女の子になっていた。 「なかなかおっきくならないね」 「…ばか…」 ふにふにと控えめに主張するリンの胸を揉みながらレンは言う。昨日も同じことを聞いた気がするが、リンは口に出さなかった。 いつからこんな関係になった?と聞かれても2人とも覚えてはいない。気が付いたら自然に、そう答えるしかないだろう。 「私たちって、本当に莫迦だよね」 「うん」 「本当に頭がよかったらさ」 ―――こんな面倒な恋はしなかったよ。 レンはリンの目を黙って見つめた後、乳房の先端に口付けた。 賢く生きられない、 そんな僕らは 大莫迦者です。 [*前へ][次へ#] [戻る] |