txt 君が去えるとき 「ねえ、シズちゃん。君にとっての世界の終わりってどんな光景?」 ぽつり、と。 臨也は呟いた。 手に持った携帯電話は相変わらず、カタカタと忙しそうに揺れている。 「世界の終わり?」 「うん。何があったら世界が終わったって考える?」 カタカタ、カタカタ 一定の速さで白い指が踊る。 何気なくさらりと問われた内容に、一瞬時が止まった。 「…何が聞きてえんだ」 「だから、世界が終わったと思うことだってば。」 シズちゃん耳と脳働いてる?と笑われる。うぜぇ。 「…俺はね、人間が消えた瞬間かな。愉しみも悦びも全部持っていかれるんだ。たまったもんじゃないよ」 「……」 「愛する人間が居なくなるなんて、人ラブな俺には世界も終わったと同然だ」 パタン、と携帯電話が閉じられる。 臨也は真っ直ぐに俺を見た。 「ねえ、シズちゃんにとって、世界の終わりって何?」 世界が終わるとき そう口にした臨也は、消えそうなくらい儚く見えた。 20100915 ←→ [戻る] |