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☆小説☆
最遊記:悪夢の次には――― (ちょっと39)



【悪夢の次には―――】






長安、慶雲院――俺が「玄奘三蔵」と名のり始めた場所


名のり始める前の俺は頻繁に悪夢に魘されていた


追いかけては
消えていく
孤独と狂気が、俺の足元を掴む


そんな悪夢から逃げ出したくて
起きていたとしても――――




月の光が、重い―――




「生きている以上、誰もが血に塗れとりゃせんかの」

どっかの狸ジジイがタバコの煙と共に吐き出した言葉

「己が血腥いと思うなら、それはおそらく・・・」



お前さんの中に流れている血の匂いじゃよ――――



「後は任せますぞ『玄奘三蔵』殿」


結局、このジジイは最後まで好き勝手に言ってやがった


ククッ
可笑しくて思わず喉で低く笑った





「生きてやるよ、てめぇらの分までな」





ちょうどその日から悪夢に魘される事がなくなった
代わりに何かに呼ばれているような錯覚がする―――











「三蔵、三蔵ってば!!」

「・・・なんだ。」

「これ、キレイだな!!」



耳が痛くなるくらい名前を呼ばれたと思えば、俺に右手を突き出し、握っている物をかかげた



「コレなんて名前?」

「・・・『キキョウ』だ」

「へへへ・・・そっか♪」

名前が分かって何が嬉しいのか
この猿は何度もその名前を花に向かいブツブツ言って、俺の前を歩いて行く


その姿を見ながら俺は、ふと思った



コイツが俺のことをずっと呼んでいたのか・・・



なぜ呼んでいたとか、どうして俺だけなんだとかは今更言うつもりはない
めんどくせぇが、この猿には俺じゃないとダメらしい




つまり、猿は俺に依存しているということ―――




「三蔵!」



ほら、また呼びやがる



「・・・今度はなんだ」

俺が視線を向けると、悟空は嬉しそうに手に持っているキキョウの花を見ながら


「この花、なんか三蔵みたいだな!!」


俺に太陽みたいな笑顔を見せた




今、気づいた―――



「・・・・・・」


依存してるのは―――

 

「・・・人語喋れ、猿」

「ムムー!!」



猿なんかよりも、俺の方で―――




「悟空」


今はもう聞こえなくなった、心の声。


「なに?」



それは、呼ぶ必要がないくらい一緒に居るということ

もし、遠く離れてしまったら
また長い悪夢に追われるのだろうか―――?




「!!さ、三蔵!?」


俺は悟空の腕を引き寄せ、優しく抱きしめる
するとフワリと大地色の髪の毛が鼻をくすぐった

悟空は一瞬驚いたように身を強張らせたが、すぐに俺を見ようと顔を上げる

そんな行動すらも愛しくなって腕に力を入れた



「三蔵・・・?」

不安げに問う声―――


「・・・俺から離れるなよ?」

「・・・うん・・・」




この手の中にあるのが真実
握りしめる感触が現実


もう、悪夢に追われることはないだろう―――











***あとがき***
これはあるキャラソンをもとに作ったんですが、途中でいきづまりまして・・・orz
あらためて自分の文章力のなさを思い知らされました。
最初らへんは「RELOAD」の3巻あたりを見ながら作りました♪(まる分かり・・・)

多分三蔵様は、光明様から名前をもらっても自分は名乗る資格がないと「玄奘三蔵」を否定してきたと思います・・・
(実際本編でも、死んだような目してたしね☆)
だから「てめぇらの分まで生きてやる!!」ってふっきったときに、ちゃんとした「玄奘三蔵」になったんじゃないかなって・・・((何言ってんのコイツ!?

ちなみに・・・
キキョウの花はたいがい紫色だそうです。(だから三蔵似!?)

花言葉は「かわらない愛」だとか・・・(汗)



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あきゅろす。
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