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■夕日の向こうに SIDEリカルド
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 きっと、今までの人生で一番葛藤したかもしれない。

 でも、そんな思いも、久実と会えるという事実の前に姿を消す。

 今日、久実が日本からやってくる。

 ホームゲームは快勝。チームメイトからは『久実パワー』なんてからかわれたけど・・・あながち間違いでないかも。

〈リカルドは、今の彼女と出会ってから、とても変わったよ。〉

 チームメイトやコーチまでもが、そう言う。そして、

〈出来ることなら、今のまま今回は続いてほしいなぁ。〉

とも。

 出来ることなら・・・って、ひどい言われようだけど、今までが今までだったから仕方ない。

 でも、今回は・・・このまま永遠に続けるつもりだ。

 そんなチームメイトの思いもあり、今回の久実バースディは、強力なバックアップ有となった。

 試合が終わり、すぐ側のホテルへ向かう。

 ホテルのロビーへ入ると、ソファーに座る久実の姿。

“久実!”

 俺はそう言って側に駆け寄る。一方の久実は、

“リカ・・・。”

俺の名前を予防として、途中でやめた。

 俺はかまわず、久実を抱きしめる。

“ねえ、みんな見てるよ。”

 久実は周りを気にして、小さい声で言う。

“言っただろ?俺は世界中に久実のこと、自慢したいって。”

 俺が言うと、久実は嬉しそうな顔をして、俺に抱きついてくる。

 そんな久実を連れ、いったん押さえてある最上階のスイートへ向かう。

 その間に、チームメイト達が、ホテルのレストランに来ているはず。

 頃合を見計らって、レストランを訪れる。この席の周りはほぼ、チームメイト。

 料理とワインを注文して、じきにワインが運ばれてくる。ワインの注がれたグラスを持って、久実と乾杯を交わすそのとき、

〈誕生日おめでとう。〉

俺の言葉と共に、まわりから一斉のクラッカー音。

 久実は驚いて、グラスを持ったまま固まっている。
 店のスタッフに頼んでおいた花束を持ってきてもらい、久実へ差し出すと、ようやく事態が呑み込めたようで、

〈ありがとう。すっかり忘れていたわ。こんな素敵な誕生日、初めて。〉

そう笑顔を見せた。

 レストランでの誕生日パーティーは、素直に喜んでくれた。

 さて、これからが・・・本番。

 部屋に戻って、久実は大きな窓から外を眺めている。そんな組の隣へ向かい、久実に小さな箱を渡す。

“わ、プレゼント?嬉しい、ありがとう。ね、早速開けていい?”

 久実はそう言って包みを解いていく。

“ピンク・・・ダイヤ?”

 ちょっと驚いたように久実は言う。俺はその指輪をケースから出し、久実の左手を取る。

 指輪を久実の薬指にはめて、

「結婚、してください。」

そう、日本語で言う。

 久実はそのまま固まってしまった。

 アツシから教えてもらった日本語が、通じなかったか?

〈俺には久実が必要だよ。ずっと一緒にいて欲しいんだ。〉

 俺の想いをちゃんと理解して欲しくて、英語で言う。すると久実はやさしく微笑んで、

〈ありがとう。今日は嬉しいことばかり。〉

そう言って、俺の腕にしがみつく。そして、

“私も、リカルドが必要だよ。だから、ずーっと側にいさせてね。”

と、俺の欲しかった返事を、くれた。


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あきゅろす。
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