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■青天の霹靂
5

 私は一人憤慨しながら事務所に入り、煙草に火をつけた。
 私のストレス解消剤。
 
 眉間にしわを寄せながら煙草を吸う私のところに、花緒が寄って来た。

「主任…怒ってる?」

 小さい声で恐る恐る尋ねてくる花緒は泣きそうな顔になっている。

「ごめんなさい…。」

 そう言ってうつむいたまま。そのうち本当に泣き出しかねない。

「気にしてないって。有馬の言う事ももっともだしさ。なに泣きそうな顔してんのよ。」

 私はそう言って花緒の肩を軽く叩いた。花緒はようやく顔を上げて、

「よかった。」

 そう言ってにこっと笑う。

 花緒は本当にいい子だ。
 明るいし、素直だし。ちょっと頼りない所もまた、かわいらしい。
 私も、花緒くらいかわいげがあったら、ちょっとは人生変わってたかも。

 一体、私の何がいけないんだろう。顔だって美人ではないが、悪いこともないし、スタイルだって抜群ではないが、そこそこだし、性格だっていいわけではないけど、悪いわけでもない。
 …やっぱり男運か?
 
 …考えるの、やめよう。暗くなりそうだ。
 
 私が吸い終わった煙草を消すのと同時に有馬が大声を上げながら事務所に入ってきた。

「しゅ、にーん。オイル交換―。」

 そう言いながら。

「お前は三ヶ月もたって、まだオイル交換出来んのかー!」

 私は有馬に向かって怒鳴りながら、ピットへと走って行く。
 有馬が適当に止めてある車を動かし、リフトにかけ、車を上げる。ドレンをはずしてオイルを抜く。

「有馬、オイルの種類は?」

「あ、聞いてない。」

「聞いて来いっ。エレメントもな!」

 私がそう言うと慌てて走って行く。そして、

「四でーす。」

 そう言いながら帰ってきた。そのオイルをジョッキに入れ、ドレンをしっかり締め、車を下ろす。オイルキャップを開け、ジョッキのオイルを車に入れる。キャップをして、オイルゲージで量を確認する。
 OK、完了。

「有馬、車出しといてやるから、精算して来い。」

 私はボンネットを閉めながら言う。

 …やっぱり男らしいかも。


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