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小説
殺したいほど、愛してる、殺されたいほど、愛してる(兵部×皆本)兵部視点、シリアス、過去追想&18禁有
こんなとき、考える。今の貴方のいない世界を。
 世界がやみに照らされて、そして世界から光がなくなった日々を。
 前髪を掻き揚げて、そして夜空をボクは見上げていた。
 どうしてこんな思考がボクを支配するのだろう?

 ……神様、神様、神様、お願いです。
 ボクを普通の人間にしてください。
 そういって何度もこんな夜に月を見上げて祈ったものだ、幼いとき。
 ボクを必要だといってくれた貴方は……ボクを否定した。

 世界はヤミにのまれ、そして世界から光がなくなった。

 貴方はどうしてボクを憎んで殺そうとしたのだろう?
 
 考えるんだ……こんな時、ヤミの夜に……星空が瞬く時。
「オイ、キョースケ、オヤツクレ」
 ボクの思考が打ち切られる、それはいつも煩い小動物のせい。
 ボクは小さくため息をついた、そして窓から見える星空を目を細めてまた見た。
 幼いときの、あの時の悲しみと焦燥を……追憶しながら。


「……いつか超能力者が世界を……」
 つぶやいてみた、とても切なくなる。
 信じていたものに裏切られるのはとても辛い。
 でも多分、多分、多分……あいつもあの子たちを裏切るだろう。
 いや裏切らない。
 二つの思考がボクを支配している。
 ボクは幼い頃信じていた。
 ノーマルとそしてボクたちは共存できると。
 でも多分今は信じきれない。
 不二子さんみたいな偽善者でもボクはないから。
 でも信じたいと思う僕も存在していた。
 遠い昔に思ったのは、ただ幸せになりたいということ。
 そのためならこの手が血に穢れることすらいとわなかったけど。
 でもとても切ない。
 誰か助けてほしい、僕を。
 こんな思考とともに襲ってくるのは発作。
 多分もうそれほどは持たないとは思う。
 女王たちが成長するまではもってほしい。
 この……生命が。
 でもまっすぐなあいつの眼差しを思うたびに、揺らぐ心が。
 あの子たちよりももっとこの心を支配するのは。
 あの生意気な坊やだった。


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