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I shoot you!!(ティエミレ)









「はいはい、刹那さんっこっち向いてですっ!そして笑顔でお願いしますですっ!」
「やっぱりアレルヤさんはマリーさんと並んで下さいですっ!」
「ハロも撮るですーっ!!」






ミレイナがカメラを手に、プトレマイオス中を駆け回っているのに気づいたのは昨日の事。
どうやらクルーの人たち一人一人を撮っているらしく、刹那はどういう顔で写ればいいのかが分からないらしく困っていたのには笑ってしまったが。



なぜいきなりみんなの写真を撮り始めたのだろう?
ミレイナにそんな趣味があったなんて、意外だな。



そんなことを自室で休みながら考えていると、電子音が鳴りこの部屋に来室者が来たことを告げた。
「どうぞ」と扉を開けるとそこに立っていたのは。



「アーデさん、ミレイナですっ」
「!」



さっきまで考えていた内容の中心にいたミレイナ本人だった。




「どうしたんだ?」
部屋に招き入れるとミレイナはニコリと笑ってからポケットに入れていたカメラを取り出した。



「アーデさん、写真撮らせて下さいですっ!」
「あ、あぁ」
カメラをのぞき込み片目を瞑った彼女を見ながらどんな顔をすればいいのか分からない自分が居た。
なんだ、これじゃぁ先ほどの刹那と同じじゃないか…



「アーデさんっ、笑って下さいですー」
僕を試すかのように立ちはだかるカメラのレンズに思わず睨みを利かせると、ミレイナが頬を膨らませていた。



「すまない、…こうして撮られるのは慣れてなくて」
「刹那さんもそう言ってたですー、じゃぁそうですねぇー…」
小首を傾げた彼女は少し考えた後に、「…じゃぁ、アーデさんが幸せだなーって思う時はどんな時ですかっ?教えて下さいですっ!」とパッと笑って聞いてきた。





幸せ時……すぐにいろんな場面が浮かんできた。
今のソレスタルビーイングのクルー達と共に過ごす様々なふとした瞬間。
どれも僕にとっては掛け替えのない思い出で、厳しい戦いの中で唯一自分がやすらげる瞬間であるその思い出はどれも幸せな時間だった。
…でもその中でもひときわ幸せだと思える、暖かい場面。
それはもちろん────






「ミレイナ」
「はいですっ」
「今、だ」
「今、?」
「ミレイナといる時間が…自分にとっての一番の幸せな時だ」
「あ、アーデさんっ…」



唐突すぎますっ、反則ですー…と顔を赤らめる彼女はやっぱり可愛くて、自然に笑みが零れるのがわかった。



カシャ。



シャッター音がして、たかれたフラッシュに一瞬目を瞑ってしまって、次に目を開いたときにはミレイナの喜ぶ顔が見えた。



「やったですっ!!アーデさんの笑顔っ、ゲットですーっ!!」
そう言って嬉しそうに飛び跳ねるミレイナはなんだかちょっと幼く見えて、やっぱり笑ってしまった。



「これで全員分、保存完了ですっ!!…アーデさん、見てみますですかっ?」
「ああ、見てみたいな」



二人でベッドに座って、それからカメラが記録したクルーの面々を一枚一枚見ていった。
刹那、ロックオン、アレルヤ、フェルト、ラッセ……一人一人がみんな笑っていた。
「ほら、アレルヤさんはマリーさんと、ロックオンさんはリターナーさんと撮ってもらったですっ」
ミレイナの嬉しそうに視線を向ける先には二人並んで幸せそうに笑うアレルヤとマリーの写真、そして頬を赤らめているアニューとそんな彼女の肩を笑って抱き寄せているロックオンの姿が写っていた。



「やっぱりラブラブですー」
恋愛話が大好きな彼女にとってはかなりの大収穫だったのだろうな、と苦笑してしまった。
と、そこで唐突に気づいた。
…一枚、足りない写真があるじゃないか。



「ミレイナ、まだ撮り終わってない人が居る」
「えっ!?誰ですかっ?」
「とても大切な人達だ」
「達…?…ぁ、もしかして…」



その"人達"が思い当たったらしく、彼女は身近すぎて忘れてたですっ!と悪気なく笑った。



「じゃあ、誰かに撮ってもらいにいこう」
「はいですっ!!」








君と、僕の写真を!







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今、櫻葉の頭の中では常にミレイナが動き回っています(笑)
浮気性な櫻葉ですがこんなにもこの二人に思考が偏ってしまうとは!恐るべし天然娘さん^^;

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あきゅろす。
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