00
例え『僕』としてでも。(ティエミレ)



*ティエミレ(でもミレイナでてきません)
*24話(もしかしたら25話)ネタのお話。











+--+--+--+--+--+--+--+



決意を決めてリボンズに銃を向けた時。
真っ先に思考の先に浮かんだのは…笑った君の姿だった。












「アーデさんっ!!」









…引き金をひいた。
銃声が、
やけに空しく響いた。
そして…









君の姿が瞬いて、
消えて、
完全なる闇が僕を包み込んだ。














「…きっと君なら来ると思ったよ、ティエリア・アーデ」
「…リジェネ・レジェッタ」




ヴェーダの心臓部ともいえる核の部分に僕の意識を潜り込ませリンクさせると、…真っ先にヴェーダとしての『僕』がとらえたのは『僕』の中に共存するリジェネの意識だった。
僕が意識を実体化させ、動かなくなった自分の肉体の隣に降り立つと、彼も僕の目の前に光る粒子に包まれて姿を現した。




「リボンズを打ち破ったんだね」




静かに響くリジェネの声はどこか優しく、表情は穏やかだ。
彼はリボンズ側では無かったのだろうかと疑問に思うと、すぐに答えは返ってきた。




「ああ、今は違うんだ」
「…」
「それよりさ、ティエリア…君は後悔してないのかい?」
「どういう意味だ」
「己の肉体を犠牲にして、そのかわり君はヴェーダとなった。…もう元には戻れない」
「…分かっている、それを覚悟で僕は、」
「もう彼女…ミレイナには会えない、今はその覚悟もできていると…?」
「っ…」




ミレイナ、という言葉に今はもう在るはずのない胸が強く痛んだように感じた。





「生きてここに、帰ってきてくださいです…」
「…勿論だ」








…すまない。
僕は、君との約束を守ることは出来なかった。
きっともうあの場所に戻ることは出来ない。








「ティエリア、本当は分かっていたんだろう?きっとこうなることを…」




リジェネが微笑むのを視界が捉えるのと同時に、彼の涼やかな気配が『僕』の中を動いているのをどこか遠くで感じながら、静かに彼女のことを想った。




僕はヴェーダとして存在することを選び、結果的にはミレイナのもとに戻ることは無くなってしまう、…こうなるのではないか。
ミレイナには言わなかったがリジェネの言うとおり感づいてはいた。そして、…ならなければ良いと祈っていた。





でも、





「それでも、僕は…ヴェーダとして生きることを決めた、…これでミレイナを、みんなを守ることが出来るのなら…」
「…ティエリアらしいね。なら、僕も協力しようかな」



リジェネの姿がふっと消え失せて、それから彼が『僕』の中で燦然と輝くのを感じた。





「さあ、ヴェーダとしての君の力、見せて欲しいな」
「…あぁ、」









さあ、僕は大切な人を守るために自らを差しだそう。
やっと手に入れた僕の存在意義を、受け入れて。
『僕』として。









僕の大切な人、
…ミレイナを守ろう。











□■□■□■□■□■□



泣きたくても泣けない最終回でした(/_・、)



09.04.01

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!