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beside you at any time. (ティエミレ)


※Tieria side



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急に、ミレイナに会いたくなったんだ。










「フェルト、ミレイナを見なかったか?」
「いえ、見てないですね…何かありましたか?」
「いや…何でもない。…ありがとう」






自分でも何でだと思うほどミレイナに会いたかった。
いつもよく姿を見かけるブリッジにもミレイナは居なくて、食堂、ミレイナの私室、ブリーフィングルーム、休憩室…やっぱり姿は見あたらなくて。
でも探すのはやめたくなくてトレミー中を歩き回っているとやっと、彼女が居そうな場所が思いついた。







「ハロ!そっちもお願いするです!!!」
「パパ、セラヴィーの整備はもうすぐ完了するです!」





ミレイナは格納庫でガンダムの整備をしていた。
思わず声をかけそうになったが真剣なその瞳と忙しく動き回る彼女の姿を見ているうちに邪魔はしてはいけないという自制心が働いて格納庫へと踏み出そうとしていた足を戻した。



きっとまだまだ整備は続く。
ここでずっと待っているのもな…。



通路の壁に体を預けてどうしたものかと考えていると遠くから自分の名前を呼ぶ声がした。
俯かせていた視線をあげた先に見えたのは向こうからやってくるアレルヤだった。


「こんなところで考え込んで、どうかした?」
「いや、少しな…アレルヤは?格納庫に用事か?」
「ううん、僕はシャワーを浴びようかと思って」


そう言って指さす方向にはシャワールームがあった。
トレミーでは出撃して帰ってきてすぐにシャワーを浴びることができるように格納庫の近くにシャワールームが設置されているのだ。



「アレルヤ…」
「なんだい?」
「僕も一緒しても良いか?」
「もちろんだよ」



この妙に会いたいという思いはきっとシャワーを浴びれば消えてしまうだろう。












「わ。刹那」
「なんだ、マイスター全員集合か珍しいな」



自分とアレルヤがシャワールームに入ると中にはロックオンが居て、シャワーを浴び終える頃には刹那が入ってきて、脱衣場はマイスター四人がそろってしまって少しばかり窮屈だ。



「そういえばティエリア、さっきまでミレイナがこの部屋の前にいた」
「!!…ミレイナが?」



刹那の言葉に髪を乾かす手をいったん止めて彼の言葉を聞くと、どうやらミレイナはここが男性用シャワールームだということをすっかり忘れていて中に入ろうとしていたらしい。



「まったくミレイナは…」
「可愛い間違いだね」
「どうせなら入って来ちゃえば良かったのになー色々と面白かったと思…痛てっ」
「ロックオン、万死に値する」



面白がって笑うロックオンに睨みをきかせていると刹那は少し笑って最後に付け加えるように言った。



「ティエリアに会いたいと言っていた。」
「え」



その言葉にアレルヤは無言のままに微笑んでいて、ロックオンはヒューっと冷やかすように口笛を吹いてさっきの仕返しとばかりにバシバシと背中をたたいてきた。




珍しく素直に嬉しくて、二人して会いたいと想っていたなんてなんだか照れくさくて…。
顔が赤くなってしまったのはミレイナには黙っておこう…。







それからすぐにシャワールームを出て、バスタオルを置いてからミレイナに会いに行こうと自室に戻った。
すると、






「!!…ミレイナ?」






自室に戻ると、ミレイナが僕のベッドで寝ていた。
驚いて暫しドアの前で固まってしまったがすぐに冷静な思考を取り戻して部屋の中に入った。



半乾きの自分の髪の毛にバスタオルをかけながらちらりと彼女の事を盗み見る。
ミレイナは僕が帰ってきたことに全く気づかず静かに寝息をたてている。



まさかミレイナが僕の部屋で寝ているなんて…。
そんなに会いたがってくれていたのだろうか、なんて考えてしまうとやっぱりとても嬉しくて、そんなミレイナが可愛いと素直に思える自分がいた。




それから僕は起こさないようにと気をつけながらきっと僕のことを待っていたは良いが整備を終えて疲れて寝てしまったのだろう彼女に毛布を掛けた。



そういえば、前にもガンダムの整備を終えて一緒に整備を手伝っていた沙慈と共に彼女が通路で眠ってしまっていたこともあったな…。
あの時もこうして、僕は彼女に毛布を掛けたっけ。





「ァーデ…さ…」
「!、ミレイナ…?」





起こしてしまっただろうか、ミレイナの口から小さく名前を呼ばれて思わず顔をのぞき込む。
が、しかし今のは寝言だったらしくミレイナは目を開けることなく穏やかな顔で眠り続けていた。



「ミレイナ…」



そんな彼女の行動に少しだけ笑ってしまって、それから静かに名前を呼んでふわふわした髪の毛をそっと梳いた。



「いつも、…ありがとう」



この頃は敵襲も多く、いつも彼女は艦内を走り回っている。
整備に追われる彼女はきっと、とても疲れているだろう。
でも僕は君の代わりに作業ができるほど器用な人間じゃないから。
…だから───



そっとミレイナの細く綺麗なその手を優しく自分の手で包み込んだ。すると彼女はふと嬉しそうに微笑んだ気がした。



今は君の傍にいるから。
君が寝ている間はずっと傍にいるから。
だから、



「安心して…眠ってくれ」











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近々、ミレイナsideもup予定です!!
もう少しお待ち下さい


09.03.07

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あきゅろす。
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