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『君が居る一人暮らし』
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「……やっっっと終わった!!!!」
「疲れたーーーー!!!」
「うあーーー!!! 飲むぞ! 遊ぶぞ! 泳ぐぞ!!!」

 勉強会最終日、最後の夜の部の勉強会が終わると、みんながそれぞれバンザイしながら歓喜の声を上げる。

「よし、とりあえずビール!ビール!」

「……里枝ちゃんは毎日飲んでたでしょ、何やっと飲めるみたいな感じで言ってるの」

「バッカ! 昨日までとは気持ちが違うでしょ。味だって変わるっつーの。やっと美味しい酒が飲めるんだよ!」

 ……この人は、黙っていれば清楚な美人なのにな。

 まぁそんな感じで、合宿所にて、曜日は違うけど、金曜飲み会みたいなラフな宴会が始まった。ちなみに教授は、昨日たまたま、いい感じのベテランママさんが居る店を見つけたらしく、1人で夜の闇(田舎なので街ではない)へと繰り出した。

「ねー、せっかくだから外に行きませんか? 海眺めながら砂浜で飲みましょうよ!」

 イッチーが、みんなに提案する。確かに、せっかく普段と違う土地に来ているんだし、せっかく地獄のカンヅメ状態から解放されたんだから、こんな風に部屋の中に閉じこもっている必要は全然ない。

「いいねー、賛成!」

 缶ビールとつまみを持って、みんなで旅館の前の海岸へ行く。

「うわー!! 星がすごい!!!」

 外に出た途端、誰かが叫ぶ。その声に誘われて、皆がふと顔を上げた。

「うっわ…!」
「…綺麗! すごい!」
「もしかしてこれ天の川ですか!? すっげ、初めて見た!」
「やだー、超感動!」

 満天の、なんてありきたりな形容しか出てこない俺のボキャブラリーを恨めしく思うほどに、それは、本当に、現実離れにすごかった。すご過ぎた。

 星空なんかに興味はない。
 そんな俺でも、このどこまでも続くのだろう宇宙に、思いを馳せてみたいような、そんな気分にさせられる。変にドキドキと胸が苦しくなって、同時に優さんの顔が思い浮かんだ。

 この星空、見たいだろうな……

 デジカメを空に向けてみる。だが、レンズ越しには、何だか思うような絵にならない。星の光も弱いし、何より、カメラの四角いフレームの中ではこの果てしなさを上手く表現できない。
 写真に納めることは諦めた。せめて目に焼き付けて、思い出話として持って帰ろう。

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