『君が居る一人暮らし』 4 「ただいま……」 「お帰りー! 真理くん!」 ……ここはどこの保育園だ。 ワンルームの壁中に、さっき優さんが一生懸命作っていた作品が飾られていて、……すっげーウザい。 「あっ! 嘘、もしかしてそれ、」 俺が右手に持っていたものを、目ざとく見つけ、瞳をキラキラさせる。 「真理ちゃんナイス!」 頬をペタペタと撫でられ、右手のブツを奪われた。 「凄いじゃん、どこから持ってきたのさー」 凄いって、そんなに大したものじゃない。夕飯を買いに行ったスーパーで、七夕だからって、入口に大きい笹竹が飾られていたんだ。……足元にその小さい枝?が落ちてたから、拾ってきただけ。 ほんの20センチくらいだし、葉っぱも3枚しか付いていない。店を出るときにさりげなく拾いながら、俺、何、情けないことしてんだろうって物凄い恥ずかしくなったが、優さんの嬉しそうな顔見て、拾ってきて良かったと思った。 「じゃーこれに短冊飾ろう! 真理ちゃんも早く書いて、ホラ」 ダイレクトメールの封筒を切って作った短冊を渡される。 「……つぅかマリちゃん呼ぶな!」 今日は朝から動揺してたから、ツッコミ忘れてた。 「そんなことどーでもいいから、早く書いて! 真理ちゃん待ちなんだから」 どーでもよくない! また呼んだし! てか願い事とか急に言われても、思い付かない。横からワクワクした顔で覗かれたら尚更だ。 「……」 やけになって、一息に書き上げた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |