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『君が居る一人暮らし』
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「ふぅ……」

 ……てゆーか、そういえば優さんは気にしてないのか、俺にキスされたこと? ……まぁ、酔ってたからな、俺。酔っ払いに絡まれたぐらいにしか思ってないのかも。
 ……いや、実際そうなんだけど。

 あんなに色っぽいカオしといて、翌日からはケロッとしてるとか、調子狂う。……いや待て、何だ色っぽいって。ああもう俺やだ!
 ……忘れよう。そうだ忘れよう。忘れよう忘れよう……。

「真理くん、今日は七夕だってさ」

 ……何も考えずに無の状態で自分を慰めるという変な努力をして、朝から物凄い疲れた。顔を洗って、無理矢理さっぱりした俺に、優さんがテレビでお宝鑑定の番組を見ながらどうでもいい情報をくれる。
 七夕って、小学生じゃあるまいし、彼女もいない俺には特に関係のないイベントだ。

「しかも天気は良くて、新月。絶好の天の川日和!」

「そーですか」

「……なにそのやる気ない反応。真理くんは、星空とかはあんまり興味ない?」

 そーですね、あいにくそんなロマンチックな男じゃない。

「天の川って見たことある?」

「理科の教科書とかでなら」

 この辺は街の明かりが強いから、星はあんまり見えない。天の川なんて以っての外だ。写真やテレビで見るのが精々だな。この時期になると天の川天の川ってみんな騒ぐけど、星っていうより、雲みたいな感じなんだろ? 言うほど綺麗なもんじゃないと思う。

「……もったいない、ぜひ1度は見た方がいいよ! 感動するから」

 いや、もともと興味ないし……

「優さんは、見たことあるんですか?」

 やけに力説するけど。

「ん? 俺? そりゃ毎年夏には、山に海に島に、何度も見に行ったよ」

 へえ、意外。引きこもりオタクじゃなかったんだ。

「天文サークルだったの、俺」

「サークルって、西先輩と一緒だったっていう?」

「そう。西くんはすぐ辞めちゃったけどね」

 夏休みのキャンプが終わったら来なくなったらしい。……西先輩のことだから、最初からキャンプだけが目的だったっぽい。

「すごいんだよ、田舎の星空って。綺麗なんてもんじゃないんだから」

 学生時代に、星の綺麗な田舎に泊まるのは必須科目!
 と、俺に指を突き付ける優さん。

「……一応、今年はゼミの夏合宿で、沖縄の離島に行きますけど」

 何年か前のOBの先輩の出身が沖縄で、その親戚が民宿をやっているらしく、宿泊費無料で世話してもらえるそうだ。

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あきゅろす。
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