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『魔王に就職』
危険な客人《7》

「ふふ……食欲のあるのは健康な証で良いことですよ。でも、もし栄養過多で血が余るようでしたら、いつでも私のところへいらして下さい。ダイエットのお手伝いをいたしますので」

 う……ダイエット、って、血吸われるんだろうな、多分。めっちゃ首筋見られてるし……。

「必要ありません。アズマ様の健康管理は全てこちらで行っています」

 わぁ、ナウラスの声が冷たくて何か怖いよ。

「嫌だなぁ、ナウラス殿、そんな怖い顔しちゃ美人が勿体ない。ほら、魔王殿だって怯えている」

 ね? ……と、俺に向かって優しく微笑むキース。うーん、その顔。……くそ、悔しいがマジでいい男だ。思わず見とれてしまう。

「……、失礼いたしました」

 キースに言われ、俺の様子を確認したナウラスが、はっ、とした感じで、少し肩の力を抜く。

「ふふふ。そうそう、あまり構えないで下さいな。喧嘩をしに来たわけじゃないんだから」

 さて、と、キースが真面目な顔になる。本題に入るようだ。

「今日ここに来たのは、竜人族の動きについて情報を手に入れたので、お知らせしようと思ってね」

 食事も少し落ち着いて、グラスのワインを揺らして遊びながら、キースがナウラスをチラリとうかがう。

「内乱が収拾したみたいですよ」

「! ……どちらが、」

「ふふ……朗報を持ってきたと言ったでしょう? ……セレア殿が頭におさまったそうだ」

「そうですか……」

 ホッとした様子のナウラス。
 俺はといえば、話の内容がいまいち解らなくて、バンパイアは赤ワインが似合うなぁ、などと関係ないことを考えながらぼーっと聞いていた。……それで、

「そうなんですよ。だからリストラ寸前の哀れな人間魔王殿を私が引き抜こうと思って。どうですか、魔王殿?血さえ定期的にもらえれば、終身雇用いたしますよ」

「はいっ!? ……ご、ごめんなさい、あんまりちゃんと聞いてなかった、」

 急に話を振られて、めちゃくちゃビックリした。
 え、なんで俺がリストラでキースんとこに終身雇用な話になってんの?

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あきゅろす。
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