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『魔王に就職』
勇者再び。《5》
 
「自分で墓穴掘るなよ、バーカ、」

 後ろでガルシアが大笑いしている。笑い事じゃねーよ……。お前の友達、道を踏み外しかけてるんだぞ。

「そういや頭殴られてたしな……」

 落とし穴に落ちた時も、カイリには強い衝撃があったのかもしれない。瀕死だったって言ってたし。
 可哀相な子を見るような目で見つめながら、カイリの後頭部を撫でて労ってやった。まだ若いから、大丈夫だよ、いつか治るさ。

「シンジさん……」

 あれ、まずい。カイリがぽーっとしている? うわ、凄い熱い瞳で見つめられてるよ。

「ヤバイ、やっぱり好き……。好き、だ……、好きです……シンジさん……!
 あっ、あの、あのっあの日から、僕、貴方が好きみたいで……」

 えええ。こ、告られた……どうしよう。ってどうしようも何もないだろ。何ドキドキしちゃってんだ、俺は。
 困ったな……何だか、カイリが、ふざけてるんでもなく、イヤラシイ感じでもなく、多分本気で普通に真っ直ぐ過ぎるから、かえってどうリアクションとっていいか解らなくなる。

「貴方に会いたくて、この城から連れ出したくて……助けに来ました。一緒にここから逃げよう?」

 あ、そして、問題がもう1つ。

「カイリ、ごめん……俺、城からは出られない」

 俺が魔王ってこと、言った方がいいのかな。……でも、なぁ。

「またですか……? どうして……やっぱり魔王がいるから?」

 というより、魔王だから?

「……だろ、やっぱりまだまだレベル不足なんだよ、お前。インチキせずにちゃんと真っ向から城を攻略できるようにならないと、お姫様は助けられねーんだとさ」

 ガルシアが、カイリの頭を小突く。残念そうに、カイリは一歩下がった。

「そうか……やっぱ、ダメか……」

「ごめんな、カイリ……」

 せっかく無理してここまで来てくれたのにな……

 ……って、あれ?

「そういえば、どうやってここまで……?」

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