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『魔王に就職』
竜人の卵《2》

「あんまりそうやって泣きそうな顔してると、チューしちゃうぞ」

 ホント、その辺の女の子より断然美人なんだから。んーっ、と唇を突き出して顔を近づける。……もちろん、本当にするわけじゃなく、寸止めのつもりで。

「あ、あああ、アズマ様っ!?」

「貴様ぁぁっ! ナウラス様に何をしている!!」

「うわっ!?」

 突然、目の前に飛び出してきたギラリと光る鋭利な刃物。避けようとして思わずその場に尻餅をつく。

「エンダリオ! お前こそ何をしているんだ!魔王に刃を向けるなんて、」

 ナウラスがさっと俺の前に出てきて、エンダリオの腕を掴み上げ、持っていた剣を取り上げる。

「……っ、すみません……」

 わ〜、きっと、ナウラスがピンチだと思って、助けなければと身体が勝手に動いたんだろうな。それなのに怒られちゃって、可哀相に。あ、俺のせいか、ゴメン。

「……はぁ…、」

 俺を助け起こし無事を確認した後、あからさまにため息をついて珍しく不機嫌さを見せるナウラス。そして、そんなナウラスを前に縮こまるエンダリオ。
 ……どこも怪我なかったんだし、そんなに怒らないであげて欲しい。……何だか奴に益々恨まれそうだ。

「……それで、どうした、何かあったのか、突然来たりなんかして」

 本当、突然。俺もびっくりした。いつもはお客さんが来る前に、必ず事前連絡があって時間も指定するから、こんないきなり誰かが入ってくるということはない。というかその前に、ここ最上階にはナウラスの結界のせいでそう簡単に誰も入れないっていうのもあるし。まぁ、例外的に四天王は有事の時に備えて、結界を突破できる魔法を教えてもらっているらしいから、エンダリオが入ってきちゃってるのは全然問題ないんだけど。
 でも、それにしたって突然すぎる。しかもあんな変なタイミングで。

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あきゅろす。
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