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『魔王に就職』
危険な客人《2》

「すみません……あのキースからどうやって貴方を守ろうかと、思案していたもので」

 うーん、やっぱり原因はそれか。
 言うまでもなく、バンパイアは人間の血が好物である。魔王であっても俺は、キースにとってはただ美味しそうな獲物に見えるらしく、前に会ったときも奴から過度なスキンシップと熱い視線を浴びてしまった。しかもまずいことにイケメンなので、ナウラス同様、俺は怖がるよりキモがるより先に照れてしまい、本当にナウラスが側にいて牽制してくれなかったら簡単にガブッといかれてしまいそうな程、雰囲気に飲まれてしまう危うさがある。

「……俺も、気をつけるようにします……」

 あんまり自信ないけど。

「そうですね、あまり彼の目を見ないようにしたほうがいい」

 確かに、あの紅い瞳にはちょっとクラッときて惑わされる。

「……だからって、目を閉じてはいけませんよ」

「! ……あ、あれは、悪かったって。もう忘れて下さい……」

 こんなに根に持つとは。もう、思い出すと本当に恥ずかしいのでやめてほしい。
 赤面した俺を見て、ナウラスが苦笑する。

「冗談です、失礼しました。
 ……ところで、アズマ様、少しワガママなお願いをしてもよろしいですか?」

 え? 何だろう、珍しい。

「実は、朝から食事が喉を通らず、身体がフラフラしているのです」

 あーあ、やっぱり。

「いいよ、何でも言って。何か食べるの持ってくる?」

「いえ、食欲はないので。……そのかわりお許しいただけるなら、アズマ様から、少しだけ気を分けていただきたい……」

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あきゅろす。
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