『魔王に就職』
魔王討伐隊結成?(※ガルシア視点)《4》
「……まぁ、そんなわけで、今から兄上に会ってくれ」
いつものようにカイリを俺の部屋に呼び、兄上からの依頼を説明する。
「うん、いいよ! ……ああ、ついに僕もお城に呼び出される程の勇者になったんだなぁ!」
「城にはしょっちゅう来てるだろ、今更何言ってんだ馬鹿」
無駄にテンション上げやがって。この勢いでうっかり兄上に惚れられたりしたら困る。
「だっていつもは遊びに来てるだけだけど、今日は王子が直々にお呼び出しだよ!?物語とかでもよくあるじゃん、……勇者よ、よく来てくれた……。なぁんてねー!」
……何かコイツ、殴りたい……うん、殴っとこう。
「ドアホ。俺様も王子だろうが。いつも直々に呼び出してやってんだろ!」
「痛いっ!! 何すんだよ、暴力王子! そんなんだからガルシアじゃ雰囲気出ないんじゃん!」
「うるせ、バーカ!」
あーもう何か色んな意味で会わせたくない。
……なんて渋っていてもしょうがないので、取りあえず連れて来た兄上の部屋。
「そなたが勇者カイリか……よく来てくれた、」
……はーい、ツカミはOK。
カイリの奴、感激しすぎて鳥肌のまま片膝立てて頭下げてやがるじゃねぇかバカヤロウ。俺にそんな挨拶したことなんか1回もないくせに。……されたくもないけど。
「楽にしてよいぞ。ガルシアの友人であることは聞いている。いつも弟が世話になっているな」
「はい! あ、いえ!」
言い直したのは謙遜じゃねぇ。実際世話してんのは俺の方だ。
ガチガチに緊張しているカイリを、兄上が楽しそうにニコニコと見守っている。あー馬鹿馬鹿しい。さっさと用件済ませて帰らせよう。
「おい、こっち座れ、カイリ。兄上に何か話せ」
腕を引っ張って無理矢理席につかせた。
「え、あっ、……ええと、何かって……」
「勇者カイリの活躍を、何でも良いので聞かせてくれ」
「は、はいっ! ……で、では、……」
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